編集しながら読み返してみると、「スローなら」と書いた馬が上位を独占してますな(^ ^;)
藤田は安全運転でマナーはいいドライバーで、横入りしたりシート汚したりしたら怒鳴りつけるオッサンみたいなもんで(^ ^;)、だから無謀な競りはないとみていました
ラップをみても思った以上に中盤緩めて走れたなあ…という印象で、Bold Ruler忍者な脚で差せるレースになったのかと
ミッキーアイル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004110007/
ハーツクライと同じMy Bupersの牝系で、3代母ステラマドリッドはエイコーンSなど米G1を4勝した一流馬でダイヤモンドビコーの母でもある。母父ロックオブジブラルタルはデインヒルの代表産駒の欧州マイル王だが、パワーが勝ちすぎていて日本では期待ほど成功しなかった。このように代々パワーの勝ちすぎた血が配されてきてパワーの勝ちすぎた配合をしている母スターアイルは、ダ1000mで2勝した巨漢のスプリンターだった。そこにディープインパクトのしなやかな体質や無駄のない脚捌きが加わることで、ミッキーアイルは力強くかつしなやかに動けるマイラーとなった。母は米血ステラマドリッドを1/4異系とする「3/4欧,1/4米」でNorthern Dancer4・4×3、自身はサンデーサイレンスを1/4異系とする「3/4欧,1/4米」で、LyphardとNureyevとDanzigとBe My Guestを通じる「Northern DancerとFair Trial〜Lady Juror」のクロスにBurghclere≒Fair Alyciaのニアリークロス。昨年のPOGでディープのイチオシだと書いてきたし、フィエロ(母がロックオブジブラルタルの全妹)の配合もずっとほめてきたが、ディープとロックはニックスだともう言いきっていいだろう。
母父が強いマイラー体型だが、ムキムキのマッチョマンではなくディープらしいしなやか体質で、若いころのリアルインパクトのように中山記念でも好走できるイメージ。運動神経が良いのでゲートが開いたときの反応が抜群で、決してムキになって逃げているわけではなく、ダッシュが良すぎて押さえる競馬ができないままここまできたというべきだろう。アーリントンでは外回りと内回りの合流点のラチのないところでフラフラしていて、ラチを頼るのもや手前を頻繁に替えるのもデビュー当初からあまり変わっていない。そんな未完成で荒削りな部分を残したままで、東京マイルのG1を一息に逃げ切るというのは容易なことではないだろう。しかもここは同型ダンツキャンサーとどう兼ね合うかという新たな難題も生じる。ただ藤田という乗り役は逃げたがるが無謀な競りは避ける人でもあるし、ダンツは外に馬がいない形なら番手でもOK。ミッキー自身も馬群を嫌がるようなことはないので、たとえハナを切れなくてもラチを頼ってこれれば...という頭で浜中は乗ってくるのではないか。ジョーカプチーノは57.2-35.2のHペースを番手から押し切り、カレンブラックヒルは59.9-34.6のスローで楽々と逃げ切った。器的にはこの2頭にヒケをとることはないと思うし、ボーダーライン上にいた逃げ先行馬が全部除外になったのも追い風には違いない。結論としては、未完成なまま素質で押しきってしまえるのではないか...という期待が半分以上。
ピークトラム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104293/
カナダの名牝系の出でTouch GoldやWith Approvalの姪にあたるタッチフォーゴールドはMr.ProspectorとBuckpasserを持つので、そこにサンデー系種牡馬を配すると「サンデー×ミスプロ×Buckpasser」のA級配合形になり、タッチミーノット(父ダンスインザダーク)やタッチザピーク(父スペシャルウィーク)などを出して成功してきた。そのタッチザピークにチチカステナンゴが配されて生まれたのが本馬で、Northern Dancer4・5×6・6・6、Aureole≒Belladoana7・7×6など全体に父母相似配合と言っていい。
チチカステナンゴ産駒は揉まれ弱い気性の馬が多いが、本馬もAureoleのニアリークロスを持つだけに馬群の中では力を出しきれないような面は見受けられる。前走は馬体が絞れたのもよかったのだろうが、揉まれない外3番手で気分よく走っていて、4角では持ったままで唸るような手応えだった。ひいらぎではミッキーアイルが離して逃げた2番手で実質自分がハナを切っているような形から流れ込んで2着、ミッキーには完敗だったがマイネルメリエンダ以下に4馬身差はなかなかの内容で、揉まれなかったときの高パフォーマンスに父譲りのAureole魂を感じ取ることができる。スペシャルウィーク譲りの長手の体型とナスキロやミスプロ譲りのしなやかな体質で、走りを見ていても本質的には中山より東京のほうが合っているようにも思える。こういう一癖ある馬に乗せたらノリは怖いし、ここも揉まれず気分よく回ってくるようならば通用の可能性は少なからずあるのではないか。馬券的な妙味はこれだと思う。
サトノルパン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011102913/
リディル、クラレント、レッドアリオンの3/4弟。母エリモピクシーはエリザベス女王杯のエリモシックの全妹にあたり、自身も京都牝馬S3着などオープン級で活躍した。Drone≒デプス3×3(ナスキロ+Tom Fool)のニアリークロスを持ち、母としてもマイルのスピードを強く伝えている。本馬も母の影響が強いマイラー体型をしているが、Halo≒Sir Ivor≒Drone≒デプスのニアリークロス3・5×4・4なので、兄たちよりもSir Gaylord的な細身でナスキロ柔い体質になった。きさらぎ賞は力の要る馬場で伸びきれなかったが、ここ2走は直線の長いコースでなかなかの斬れ味を発揮。ただディープ産駒の配合としては、ナスキロ柔さを支えるパワーの血が少し不足している感はあり、母系にVaguely Nobleが入ってBurghclere≒Aureoleのニアリークロスになることからも、パンとして完成するのは古馬になってからというタイプではあるだろう(兄たちも決して早熟型ではなかったが)。ディープ×Storm Catが典型だが、ディープ産駒におけるSir Gaylord(≒Secretariat)のクロスは、他でパワーの血をシッカリ補わないと、若いころは緩さや非力さが先んじて完成が遅れる傾向にある。トーセンレーヴ、ダノンジェラート、ラングレー、サトノアラジンなんかのイメージだ。ダンシングブレーヴのガーッと行く性格も受け継いで折り合いが難しいほうだが、そこはユタカだからなだめてメリハリをつけて追い込んでくるはず。しかしやっぱりあのトモに非力さを感じさせる走りは、3歳春に頂点を極めるにはちょっと線が細いと言うべきだろう。良ならば上位には差してくるだろうが、突き抜けるまではどうか。
ショウナンアチーヴ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103607/
母ショウナンパントルは阪神JF勝ち馬で、近親にディープブリランテやザッツザプレンティやバブルガムフェローなどが出るおなじみのバブルカンパニー牝系。母母バブルウイングスはNorthern Dancer3×4にMill Reef≒Hopespringseternal(ナスキロラトロ)4×3と相似配合的で、そこへNorthern Dancerを持たない5代アウトのサンデーサイレンスが配され、そこへNorthern Dancer4×4、ネヴァービート4×5とやはり相似配合的なショウナンカンプが配されて、ショウナンアチーブ自身はNorthern Dancer5・5×5・6となった。ようするに「父と母母はNorthern Dancerクロスをメインとする欧血主体の相似配合で(3/4欧,3/4Northern Dancerクロス)、母父サンデーサイレンスだけはNorthern Dancerが入らず米血主体の5代アウト(1/4米,1/4異系)」という、配合形の良さ、緊張と緩和のリズムの良さが光る配合だ。
NZTは出遅れたが慌てず内に潜り込み、3〜4角で外に持ち出しながら捲り上げてショウナンワダチとの競り合いを制した。サクラバクシンオー×サンデーサイレンス×ナスキロでしなやか体質のグランプリボスが東京や京都の高速馬場でベストパフォを発揮するのに対し、ショウナンアチーブは頑強なNorthern Dancerの血が多いぶんだけパワー型に寄っていて、中山のエアレーション馬場のほうがパフォーマンスが上がるタイプといえるだろう。だからここは東京替わりのぶんだけ、前走から少し割り引く必要があるのではないか。
ショウナンワダチ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011102041/
ダイナコスモス、ディヴァインライト、アグネスワルツなどが出るシャダイプリマの牝系で、母ショウナンマライアはVice Regent≒ノーザンテースト4×4、Northern Dancer≒Icecapade4・5×5・5、Roberto5×4という相似配合。そこにNorthern Dancer4×4、ネヴァービート4×5などやはり相似配合的なショウナンカンプが配され、自身もノーザンテースト≒Vice Regent4×5・5にNijinsky4×5とNorthern Dancer系のクロスを累進している。
体型は父とクロフネを足して割ったようなイメージで、脚長でストライドで走るほうで中山より東京のほうが合っていそうな脚質だが、高速馬場で極限の鋭さ勝負になるとサンデー系のA級馬には及ばない...というところはあるだろう。東京マイルでHペースになればストライドで追い込んできそうだが、ジェイドロバリーを持つ馬の芝G1成績は[4.2.1.76]、馬券に絡んだのはスーパー配合のメイショウマンボ(オークス、秋華賞、エリ女)と、ヤマカツスズランのJF勝ちに秋華賞2着、アドマイヤキッスの桜花賞2着、あとショウナンナンバーのNHKマイル3着。フレンチデピュティを引く差し馬はNHKマイルで買いやすいが、ジェイドロバリーを引く馬は少なくとも頭からは狙いにくい。
ホウライアキコ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011100693/
ヨハネスブルグはStorm Cat≒Narrate(Storm Bird≒Nijinsky,Bold Ruler,Princequilloが共通)のニアリークロス2×3で、Storm Catの仕上がり早いスピードを高確率で伝えてファーストシーズン・リーディングサイアーとなった。産駒の代ではこのニアリークロスを緩和する方向の配合が望ましく、本馬の場合は母父サンデーサイレンスがNorthern Dancerもナスキロも持たないのがいい。一方で母母ホウライコメットはNorthern DancerにSecretariatにTom FoolだからStorm Catとかなり血脈構成が重なり、自身はMr.Prospector4×4にStorm CatとCatopetlを通じるNorthern DancerとSecretariatのクロスだから、父のニアリークロスを緩和しつつそのスピードを2歳時に完熟させようとした配合といえる。(ここまで桜花賞と同じ)
桜花賞は離れた第二集団以降は1000mを60秒前後で通過して残り600mを34秒前後で上がる競馬をしていたわけだが、これまでよりジックリタメる競馬で直線に入ってから追い出され、残る200mまでの反応はなかなか良かった。わりと細身で脚長でミスプロ的ナスキロ的なストライドで走る馬だし、もともと前で受けて踏ん張るには重厚なスタミナの血が足りない配合でもあるから、外マイル戦ならあれぐらい末脚温存で乗ったほうがいいのかもしれない。東京マイルの大レースで和田の差しというのもピンとこないが(和田の東京芝重賞成績は[3.5.3.43]、うちオペラオーで[2.2.1.0])、純粋な配合評価ではタガノブルクよりもこちらを上にみたい。
タガノブルグ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105000/
ラスフローレスH(米G3・ダ6F)のSpring Meadowの近親で、母スペシャルディナーはNorthern Dancer5×3、Buckpasser5×4、Aureole≒Flower Bowl5×5など相似配合的。そこにStorm Cat≒Narrate2×3(Storm Bird≒NijinskyとBold RulerとPrincequillo)のヨハネスブルグが配されて、自身はMr.Prospector4×4にStorm Cat≒Narrate≒マルゼンスキー(Storm Bird≒NijinskyとPrincequilloとFirst Rose≒Flaring Top≒Tom Fool)のニアリークロス3×4。父も母も自身も強いニアリークロスを持つ相似配合で、母系にサンデーとWoodmanが入るのはホウライアキコと同じで全体の配合形も似ているが、父も母もNorthern Dancer系のクロスをもつというのは感心しない。ヨハネスブルグ産駒の配合としてはホウライアキコのほうを教科書とすべきだと思う。
Storm Catが強いマイラー体型だが脚長で体質は柔く、これはMr.Prospectorやナスキロのクロスの影響もある。戦績どおり長い直線をストライドで差す1400m寄りマイラーという見立てで、橘やクロッカスの斬れ味をみると道中動かしていくよりは末脚勝負に徹したほうがいいタイプなのかもしれない。昨年の安田のロードカナロアとショウナンマイティの叩き合いを見ると、ナスキロ柔いStorm Catは東京の直線でも爆発力があるが、この2頭やホウライアキコほど説得力のある配合とはいえないので△までの評価とした。
ウインフェニックス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011101149/
名繁殖チヨダマサコにさかのぼる千代田自慢の牝系で、3代母タレンティドガールはエリザベス女王杯勝ち馬でホエールキャプチャの3代母でもある。2歳の夏デビュー以降、常に善戦をつづけてきた安定株で、前走NZTの完敗で株を下げて...という臨戦過程は同じスズカフェニックス産駒のマイネルホウオウとかぶるものがあるが、ホウオウと違ってこちらは一線級とは言いがたい馬にも負けている。「サンデー×ミスプロ」の組み合わせや母のSir Gaylordクロスの影響なのだろうが、マイラーとしては体質が柔らかすぎるところがあってベストは1800mだろう。クラリティシチーに競り勝ったいちょう2着がベストパフォとみたい。ここは色気を持って前々で運ぶと苦しいだろうが、気楽に差しに回れば3連のヒモ穴には注目できる。
アドマイヤビジン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011101543/
3代母ミヤマポピーはタマモクロスの半妹でエリザベス女王杯勝ち馬。クロフネ×ゴールドヘイロー×サンダーガルチというダートに適性が高そうな累代で、母がMr.Prospector4×4にNorthern Dancer4×5、自身はNorthern Dancer≒Icecapade4・5×5・6。フレンチデピュティとニヤーを通じるNorthern Dancerとナスキロラトロの組み合わせクロスでもあり、字面の血統よりは細身でしなやかに斬れるのはミスプロ的ナスキロ的な要素がONになっているからだろう。NHKマイルCはフレンチデピュティを持つ馬がよく激走するが、マイネルホウオウとインパルスヒーローで決まった13年、ブラックシェルが2着の08年、ピンクカメオが勝った07年、そしてクロフネとグラスエイコウオーで決まった01年と、フレンチデピュティ持ちが絡んだのはいずれもゴール前の上がりが12秒台だったとき。つまり上がりがかかって斬れとパワーの両方が求められるようなレースになったときで、今年は前が引っ張って上がり12秒戦になる公算が高いだけに、押さえに一考とも思うのだが...。
エイシンブルズアイ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011110099/
父Belgraviaは2歳時にハリウッドプレヴューS(米G3・AW7F)などデビュー2連勝を飾るも、その後は使い込めず4戦2勝で引退。Mr.Greeley産駒でSecretariat≒Sir Gaylord4×4だから、芝ダ兼用のスピード馬だったと考えられる。母系近親に目立った活躍馬はおらず、3代母Gregorian WinlocはNasrullah4×3・4とFlower Bowl≒Swaps3×3、母母PuddlejumpはNasrullah≒Royal Charger5・7×4・5・5、その父の母Weekend SurpriseはSecretariat≒Sir Gaylord1×3、そこにNorthern DancerもNasrullahも持たずIrish Song≒Eridan3×3のニアリークロス(どちらも父Maki,母父Daron Blancの組み合わせ)という超アウトサイダー血脈のSiphonが配され、そこにSecretariat≒Sir Gaylord4×4のBelgraviaが配されたという、このNasrullah血脈についての緊張→緩和のリズムとSiphonの1/4異系としての使い方が実に見事で、この配合ならば母系の弱さはそんなに気にしなくていいと思う。自身はSecretariat≒Sir Gaylord5・5×5・7(Secrettame≒Weekend Surprise4×4)で、いかにもGone West系というマイラー体型だがそれほどマッチョなタイプではなく、ナスキロ柔さとBold Ruler+Tom Fool的忍者走法で走る完成度の高いマイラー。
毎日杯は好位のインから反応良く抜け出したものの、あと200mで手前を替えてからは失速気味で、2着に残ったとはいえやっぱり阪神の急坂は少し応えるのではないか。白菊賞が相手に恵まれたとはいえ圧勝で、Bold Ruler的な軽さとSecretariat≒Sir Gaylord的な柔らかさで走るので、ベストは平坦小回りのマイル戦だろう。阪神よりは東京がベターだろうが、東京マイルのHペースで追って味があるかというと、そうではないと思うのだ。
キングスオブザサン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104272/
サトノギャラントの半弟で、母スティンガーはHalo≒Chieftain2×4(Royal Charger≒Nasrullah,Pharamond=Sickle,Sir Gallahad,Sunstar)のサンデー産駒で阪神JFなど重賞5勝、その全姉にサイレントハピネスが、3/4弟にアーバニティがいる。チチカステナンゴは父Smadounがアウトサイダー血脈が強い5代アウトで、母スマラがNorthern Dancer2×3、Sir Gaylord=Swansea3×5で、母母Small PartieがNearcoとNative DancerとBelladonna≒Aureoleの4×4で、自身は5代アウト。そしてキングスオブザサン自身はナスキロとBold RulerとWar Relic≒Good Exampleの薄いクロスで、「欧血の父×米血の母」という配合形になっている。(ここまで皐月賞と同文)
皐月賞は好位から捲りきれなかった(馬群から抜け出せなかった)のでこの馬の好走パターンに持ち込めなかったが、走破時計2.00.8は葉牡丹勝ちと同じだから、馬場が高速化したぶん捲れなかったという見方もできるか。「父中距離×母マイラー」だから先行力と機動力に長けた中距離馬で、Bold Rulerのクロスらしい無駄のない忍者走法で、こういうタイプは東京だとスローがベターだが、スローになったらなったで鋭さ負けの可能性大だから難しい。
ロサギガンティア
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104295/
母ターフローズはリディアテシオ賞(伊G1・芝2000m)に勝ちミュゲ賞(仏G2・芝1600m)とボモーヌ賞(仏G2・芝2500m)で2着。牝祖TaniaはおなじみのドイツDark Ronald三銃士、Aditi≒Alchimist≒Arjamanのニアリークロス4×4・4を持ち、ここからバイエルンツフトレネン(独G1・芝2000m)のTurfkonigなどが出る。母父Big Shuffleはコーク&オラリーS(英G3・芝6F)勝ち馬でドイツで6回リーディングサイアーとなったが、その父Super ConcordeがBold Ruler系の傍系でNasrullah≒Royal Charger≒Perfume4・5×4、母Raise Your SkirtがHyperion3×4にCourt Martial4×3で、「緊張×緊張」で自身はアウトという面白い配合をしている。ロサギガンティア自身はHaloにWild RiskにIn RealityにBold RulerにハイインローにNorthern DancerにRibotにドイツ牝系と、重要な血はひととおり揃っていて、いずれも幹ではないが悪いものも伝えない渋いラインを通じているというのがドイツ的な配合といえるし、そういう配合からエイシンフラッシュみたいな馬が出てくるから面白い。
皐月賞は中団の外で前にイスラボニータを見る形、これを追うように直線追い出したが、思いのほか弾けなかったというか反応がないままの乾杯。1F延長がことさら応えたとは思えないだけに、結果論になるがレースレベルとしては弥生賞>スプリングSだったということか。東京芝は[2.1.0.0]でベゴニア2着も追い出しを待たされたぶんでショウナンワダチに力負けしたわけではない。ただBold Rulerクロス馬らしい無駄のないアクションときれいな脚捌きの忍者走法で、器用さと反応の良さが最大の武器だから、東京ならスローでこそ味があるタイプだと思う。
アトム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011101564/
ミッキーアイル同様「ディープインパクト好配合リスト」で取り上げた馬で、母シャイニングエナジーはゲイムリーBCS(米G1・芝1800m)勝ち馬。母にBlushing GroomとGlorious SongとMr.ProspectorとNureyevが入るのはヴィルシーナと同じで、Blushing GroomとGlorious SongとNureyevが入るのはフレールジャックと同じで、母母父Lyciusはトーセンラーの母父でもある。自身はHalo≒Red Godのニアリークロス3×4・4で、Rahyが強いマイラー体型で、フレールジャックのイメージに近い機動力型マイラーだ。
デイリー杯ではホウライアキコをクビ差まで追い詰めたが、朝日杯は馬群の中で少し仕掛けが遅れたきらいはあったものの、脚質的に中山マイルはピッタリのイメージがあっただけに、思ったほど弾けなかったなあ...というのが正直なところ。母系に入る血やクロスする血に共通する部分は多くても、トーセンラーと比べると母の配合で見劣るし、フレールジャックと比べると経由する血の質で見劣るし、G1レベルの戦いでそういう母系の奥行きのなさが少し垣間見えてしまったかな...という負け方にも見えた。東京マイルだとヴィルシーナがスローをスルスル抜け出すような型に持ち込みたいところだが、今年は強力な逃げ先行がいるだけにそこまで緩むことはないだろう。
ベルルミエール
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104391/
近親にこれといった活躍馬はおらず、母母父SaumarezはBlushing Groomにハイインロー的スタミナを詰め込んだ配合で凱旋門賞に勝った。そこにサンデーサイレンスが配された母フレンチビキニは4勝をあげたしぶとい先行馬で、これは「サンデー×Lyphard×ハイインロー」らしいが、軽いスピードが不足していたのでダ1800mが主戦場だった。そこにフォーティナイナー系で短距離の軽いスピードを伝えるスウェプトオーヴァーボードが配されて、父のスピードと母の粘着力で走る前で受けて手堅いマイラーが出た。
Blushing Groomが強いマイラー体型でSaumarezのHyperion的な体質を受け継いでいて、スウェプトオーヴァーボード産駒にしては短距離のスピードは並でそのぶんマイルでしぶといが、スウェプトオーヴァーボードの仔が東京マイルのG1を正攻法で押しきれるかとなると、Saumarezの重石だけでは心許ない。
アルマエルナト
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103191/
母キャメロンガールはTom Fool4×5、Nasrullah≒Royal Charger5×6・7・7、Busanda≒Better Self4×6、Native Dancer6×5、War Relic≒Eight Thirty6×5という父母相似配合で芝短距離で2勝、その全兄にアーリントンCとデイリー杯に勝ったエイシンキャメロンがいる。母系近親馬は平地で24勝をあげているが、うち19勝が1400m以下で短距離のスピードに優れた牝系だ。本馬も短距離を主戦場としてきたが、NZTの内容ならマイルも乗り方次第でOKだろう。ただネオユニ産駒らしい曲飛はいかにも中山向きで、ネオユニ産駒は東京芝重賞で[3.2.3.37]、G1で馬券に絡んだのはロジユニヴァースの泥田のダービー勝ちと、ヴィクトワールピサのダービー3着とJC3着だけで、この2頭に比肩するレベルの馬ではないだろう。
カラダレジェンド
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011101741/
さかのぼると快速テンシノキセキなどが出る北米スピード牝系で、母母サボンネリエはレゼルヴォワール賞(仏G3・芝1600m)3着。半姉ラヴァーズテーラーもタニノギムレット産駒ながら芝1200mでスピードをみせている。フレンチデピュティ×サンデーサイレンスはレジネッタ、アンブロワーズ、サイレントプライド、ライラプス、プロヴィナージュ、ノボリディアーナ、ネイキッドなどと同じ。Blue Moon≒Nothirdchance4×5の米血パワーがONになるのでパワーで押すような脚質になりやすく、母母にヨーロピアンな重石がきいていればレジネッタやアンブロワーズのように外マイルで追って味があるタイプも出る。本馬は母母も米血が強いのでサイレントプライドとテンシノキセキの息子というイメージでよく、京王杯の勝ち方もそのイメージそのものだった。東京だと1400mがベストの先行型短めマイラー。
ダンツキャンサー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011102236/
ウインフェニックスと同じく名繁殖チヨダマサコにさかのぼる牝系で、このスリードーターの分枝にはフェアリーSのルルパンブルーなどがいる。母チョウカイクリスはPrincely Gift4×4、Ambiorix≒My Babu5×7・7、Never Say Die5×7という父母相似配合で、その全兄エアニックスやヒシバクシンも芝短距離でスピードを発揮したが、バクシンオーらしい柔らかスピードを確実に伝える繁殖といえる。母父バクシンオーの賞金上位はハクサンムーン、サワヤカラスカル、メモリアルイヤーだから肌に回っても自己主張が強く、全姉エクセレントピークも芝1200mでスピードをみせているが、本馬は怖がりな性格でスピードに任せてビュンビュン逃げる競馬で勝ち星を重ねてきた。ただ母はPrincely GiftとGrey Sovereignを通じるNasrullahクロスだけに柔らかみがありすぎて、ハクサンやメモリアルほどの力強いダッシュ力はなく、戦績どおり1400mで気合いをつけながら先行するというスピード馬だろう。前々走は1200m戦で他もダッシュがいいので3番手に控える形となり、結果は5着だったが前崩れのなか先行勢で唯一掲示板に残った。あれを見ると揉まれなければ押さえる競馬もOKだろうが、東京マイルはスローになってもさすがに少し長いだろう。
マイネルディアベル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105136/
母母ネクストムービーはムービースターの全妹で、そこにトニービンがかけられた母ムービースクリーンはHornbeam3×4にHyperion4・6・6×5・6・7・8、ディクタスを1/4異系にした3/4Hyperion継続クロスという配合。そこにディアブロ×スリルショーでダートで単調なスピードを見せたナイキアディライト(かしわ記念、日本テレビ盃)が配されて、父のスピードで先行し母のHyperionで粘るマイラーが生まれた。こういう字面は地味だが弱点補完的な配合の上級馬を発掘してくるのは岡田総帥ならではといえる。Hyperion的な粘着力はあるので少々タフなレースになっても大崩れしないが、先行するスピードの質がDevil's Bag頼みでは、単調すぎて東京マイルを乗り切れるイメージが湧かない。
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過去18回のNHKマイルCの歴史において、逃げ切り勝ちは一昨年のカレンブラックヒルだけ。2番手から勝ったのもジョーカプチーノとウインクリューガーだけ。明らかに差し有利なレースで、しかもカレンの年は59.9-34.6と良馬場としてはちょっと考えられないほどのスローだった。
とはいえ3歳春の時点での単純な器の比較ならばミッキーアイルがカレンやジョーに見劣るとは思えないし、全出走馬の分析をやり終えた私の見立てに間違いがなければ、他にG1級といえるマイラーもいない。
ミッキーが自爆してしまう可能性は少なからずあるだろうと私も思うけれど、そうなってしまうともはや格や器の決着にはならないだろうし、G1でそういう決着を想定して印をひねるのは私のスタイルではないし、そういうセンスを求められてるわけでもないだろう(^ ^;)
自爆と圧勝が五分五分だとするならば、ミッキーアイルの単を買って、その五分五分の確率に賭けたいし、賭ける価値のある馬だ。
そしてミッキー以外の馬が相手ならば、気分よく走ったときのピークトラムが格で見劣ることはないと思うので、この馬の単も買いたい。
この2頭で堅いなんて言うつもりは毛頭ないけれど、他に買いたい馬券は日曜東京11Rには売ってないし、この着地点でいいだろうと思っている。
◎ミッキーアイル
○ピークトラム
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血統クリニック〜NHKマイルC再掲
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