Quantcast
Channel: 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4412

第75回菊花賞回顧~お手馬で下る坂

$
0
0

京都11R 菊花賞
◎15.ワンアンドオンリー
○9.ハギノハイブリッド
▲5.シャンパーニュ
△4.サウンズオブアース
ワンアンドオンリーの神戸新聞杯は次をにらんでダービーのように出しては行かず、しかし追い込むのではなく3角すぎの下りを利してのロングスパート、ゴール前はかなり際どい叩き合いになったものの、叩き合いで二枚腰を見せたという点ではローズSのヌーヴォレコルトと似た勝ち方だった。アタマ差の辛勝だったが、菊花賞の前に鞍上がやっておきたいことをやっておけたという意味では、トライアルとしては満点に近い内容だったといえるのではないか。トップスピードに乗るまでに少し時間がかかる脚質だからここも下りからのロンスパでいいだろうし、そのあたりの仕掛けのタイミングについては、淀の長丁場を熟知している鞍上に任せておけば心配無用だろう。2000~2400mベストでステイヤーではないが、エピファネイアだってゴールドシップだってオルフェーヴルだってステイヤーではない。ハギノハイブリッドは近親のフローテーション(菊花賞2着)や同じタニノギムレット産駒のクレスコグランド(京都新聞杯)とイメージが重なるようなロベルト系ステイヤーで、春から菊で狙いたいと書いてきた馬。シャンパーニュは今回は行ければハナと言っているので、ここでもマークしたい。

--------

9R壬生特別がアリュージョンとエーシンアムディーの行った行ったで決まりそうなところを、その直後のラチ沿いにいた1枠2番アットウィルが差し切り、私の◎キタサンラブコールは外から凄い脚で伸びて届かず4着、ガックリと肩を落としながら「毎年菊花賞はこんな馬場やなあ…」

しかし毎年そんな馬場でも、菊だけは強い馬がロンスパで抜け出して、外差しも決まり持続力も問われるレースになるのだ…という根拠のない過信があって、馬券は予定どおりにワンアンドオンリーから買ってました

ワンアンドオンリーは前にトゥザワールドを見ながら中団、馬群の4頭外をずっと回りつづけ、それをマークして進んだ岩田ヴォルシェーブや福永ハギノハイブリッドやブドーのワールドインパクトらが同じような着順で入線していることからも(9~12着)、ノリの周りにいた馬たち、外を回った馬たちにはノーチャンスのゲームだったといえるでしょう(余談ですが、ブドーってフランス人らしく本命馬をマークして乗るのが好きですね)

対照的に1枠2番トーホウジャッカルは出たなりで好位のラチ沿いを進み、その直後に2枠4番サウンズオブアース、その直後のラチ沿いに潜り込んだのが4着のタガノグランパでした

1000m毎のラップが60.9-61.3-58.8、馬場が速すぎるのでこのペースでも馬群はバラけず隊列が変わらないままで、そのためずっと内を回りつづけた組とずっと外を回りつづけた組との有利不利がより着順に反映されたという面もあったかも

けっきょく7着までは全て内を回ってきた馬、8着トーセンスターダムは前半はインベタで2周目3角から外へ、つまり「ずっと外を回った組」の中ではワンアンドオンリーは最先着ということで、皮肉でも何でもなくダービー馬の貫禄は見せた結果ではあったし、こうなると別のレースが同時に二つ行われていたという印象すらあります

でも大跳びで小回りがきかず引っかかるとノリでもなだめるのに苦労するワンアンドオンリーとしては、ダービーのようにかかるのを承知で出していくわけにはいかないし、かといって大本命馬がサトノアラジンやトーセンスターダムのようにわざとゆっくり出してケツまで下げてインに潜り込むというバクチは打てないし、実際アラジンは直線で不利を受けてしまいました

「菊花賞の前に鞍上がやっておきたいことをやっておけた」のではなく、この引き出ししかなかった時点で、超速京都の外枠を克服するのは難しかったというべきで、「負けるとしたらこういう形だと思っていた」というノリのコメントはそのへん全部含んでのものやと思います

他の有力馬がみんな外差しに回ったのを尻目に、一頭だけラチ沿いを絶妙に立ち回った春天のフェノーメノが思い起こされるレースで、京都の芝はあまりにも時計が速くなりすぎて良馬場だと外を回って持続力でねじ伏せるというような競馬はちょっと不可能に近く、1200mだろうが3200mだろうが好位のインで立ち回れる機動力が必須になってきたと言えるのかもしれません

たとえ昨年の京都大賞典のように和田が動いて残り1200mからのロンスパ戦になっても、やっぱり外を回って勝ちにいったゴルシとトーセンラーは最後伸びあぐみ、インでジッとしていたヒットザターゲットとアンコイルドで決まって馬連1-2

各馬の血統については「血統クリニック」再掲を読んでいただきたいですが、トーホウジャッカルは「サンデー×ミスプロ的にしなやかなフサイチパンドラ」というイメージで書いていて、ビュンと速い脚を使うというよりは持続力に富んだ中距離馬というのが私の見立て

Unbridled(米二冠とBCクラシック)は牝祖MagicがBusanda≒Better Self2×2、自身はAspidistra4×4で、しかも母父にフランス血脈Le Fabuleuxが1/4異系で入るという名血名配合で、ミスプロ系最強の中距離の底力を誇る血です

Unbridled's Song(BCジュヴェナイル)はそこにCaroとPrincequilloが入ったのでCozzene的な平坦芝向きの柔らかさ軽さも伝え、ダコール(母がUnbridled's Songの全妹)やLittle Mike(BCターフ,父はUnbridled's Songの全弟)が斬れるというよりは前輪駆動で転がり込むように流れ込んでくる脚は実にUnbridled's Song的

トーホウジャッカルも前捌きがきれいで、今日も下りからの加速が実にスムーズだったのはこの血の恩恵が大きかったというべきで、スペシャルウィークとNureyevだけではあんなふうには下れないだろうと思います

ワンアンドオンリーが外を回され、サウンズオブアースは明らかにトモがパンとして春よりHyperion的な体質脚質になってきたので、となると阪神→京都に替っていちばん上積みがあったのが神戸新聞3着馬だったと

それにしても驚いたのは、たしかに神戸新聞のトーホウジャッカルは直線で少しロスがあったとはいえ、トライアル2着馬が調教師の息子を降ろして蛯名を配してきて、一方の3着馬は菊花賞初騎乗の酒井学、しかし(単勝人気は例の前売りガツンがあったとはいえ)馬連もワイドも2-15のほうが4-15より売れていたというのは、みなさん馬券が上手というか見てる人は見てるんやなあ~と感心せざるをえないです

終わってみればすべて1枠2番が勝った2014年のクラシック三冠でしたが、イスラボニータと蛯名、ワンアンドオンリーとノリ、そしてトーホウジャッカルと酒井学、いずれも「お手馬」と言っていいコンビ

達者な外国人騎手が次々と来日しトップクラスの馬に乗り替わるのが日常茶飯事になり、そりゃルメールやスミヨンは癖馬をテン乗りで涼しい顔で御してみせますが、だからこそトーホウジャッカル酒井学とか、スノードラゴン大野とか、いわゆる中堅クラスとされる乗り役さんは、この馬を一番理解しているのは俺なんだ、というところで勝負していくしかないんじゃないかと思います

トーホウジャッカルの3人気は、ニホンピロアワーズやハクサンムーンとずっとコンビを組んでついにG1級に完成させた、鞍上への信頼も含まれていたのかもしれません


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4412

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>