京都11R マイルCS
◎7.アルビアーノ
○10.フィエロ
▲16.モーリス
△5.イスラボニータ
×1.ヴァンセンヌ
注15.ダノンシャーク
GIともなると、ただ当てればいいというだけではなくて、自分らしく当てたいという気持ちがいつもにも増して強くなる。こういう台詞はもっと当たる人が言えばもっとサマになるのだろうが、大して当たらん血統屋もやっぱりGIは自分らしい予想で当てたい。アルビアーノはスーパー名繁殖コートリーディーの直牝系で、母アンティークスは紛れもなく世界最高レベルの血統配合。サラブレッドの血統において、自身の配合と同じぐらい母の配合が大事なのだということはよく書いてきた。デビュー当初から「柔らかく大きく、強く速く」動ける一流馬の資質をかいま見せていたが、ここまでずっと柴山とコンビを組みつづけて、才能とスピードまかせのレースをつづけてきて、しかし前走スワンSでは初めての差す競馬でいきなり満点解答を出してみせた。海外や地方の名手が続々と参入してくる中で、中堅と言われるような乗り役たちは、いわゆる“お手馬”をつくることで、その馬のことは誰よりも理解しているという関係を築くことで勝負するしかないだろうとも書いてきた。やはりモーリスはチャンピオンだったというシナリオも、やはりイスラはマイラーだったというシナリオも、ついにフィエロがGIを勝つというシナリオもあっていいと思うが、このマイルCSを望田らしい能書きで、望田らしく当てにいくならば◎はアルビアーノ以外にない。日曜の15時40分、GI[0-2-2-34]の柴山と運命共同体となる。
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今日のレッツゴードンキはさすがは戸崎というべきか、ハナを切ってからは折り合いスムーズで、中盤を12.5-11.9と中だるみさせて上がり3Fが11.1-11.5-11.2
これまでマイルCSにおいてマークされた上がり3F最速は13年トーセンラーと05年ハットトリックの33.3ですから、上がり33.0のイスラボニータや33.1のダノンシャークなどはそれを上回る脚で追い込んでいるわけで、けっきょく後方にいた馬はノーチャンスと言っていいレースでした
モーリスはまずまずのスタートから内の馬たちの動向をうかがいつつフィエロの直後にまで下げ、その内にサトノアラジンと人気3頭が中団で併走する形
サトノアラジンは4角では1~2着馬の直後、しかしそこから追い出して直線半ばまでの反応で見劣って少し離され、最後はジワジワ詰めてきたのでよく追い込んだように見えますが、あそこで1~2着馬ほどビュンと反応できないのは頑強マイラーではなくしなやか1800型だからで、それはしなやかな歩様でパドックを周回していたイスラボニータにもいえること
アルビアーノは牝馬ながら頑強さでは一番だろうというつくりで、やっぱりこういう馬がマイルG1を勝つべきじゃないかとパドックを見て意を強くしたほどでしたが、スタート後にフィエロと接触したときに馬が行きたがってしまったのがちょっと響いたかな、という5着
まあベストは1400mなのかもですが、できれば来年も柴山とのコンビ続行で、レッツゴードンキとともにマイル路線の華として頑張ってもらいたいです
けっきょくモーリスのほうがフィエロより少し頑強で、フィエロのほうがイスラボニータとサトノアラジンより少し頑強で、頑強なぶんだけトップスピードに乗るのが速いのだという直線の攻防で、それはモーリスだけはサンデーサイレンスの血量が半分(12.5%)なのと、フィエロの母父デインヒルの強大なパワーがモノを言ったといえるのではないかと
1600mのHペースを好位で唸りながら抜け出す真のマイル王を出すには、サンデーサイレンスの血は少ししなやかで柔らかすぎて、オルフェーヴルやディープインパクトやハーツクライやナカヤマフェスタやブエナビスタなど2400mの国際級のチャンピオンを出すには最高の血なのですが、その代償として香港勢にコテンパンにやられつづけるような短距離~マイル路線の長い低迷があるのではないか、ということは折に触れて書いてきました(唯一香港勢をコテンパンにしたロードカナロアは非サンデーサイレンス)
そのあたりについては下記エントリ「1/8以下サンデーサイレンス」も読んでいただきたいですが、タイキシャトル、エアジハード、アグネスデジタルといった非サンデーサイレンスの頑強マイル王が君臨していた時代は、今より明らかに遅い馬場にもかかわらずマイルCSは1000m57秒前半が当たり前、それでも極端な前崩れにはならず、タイキシャトルは3-3で、エアジハードは7-5で好位で唸りながら勝ってました
「1/8以下サンデーサイレンス」でも書いたように、モーリス(父スクリーンヒーロー)、クラリティスカイ(母父スペシャルウィーク)、レッツゴードンキ(母父マーベラスサンデー)、スノードラゴン(母父タヤスツヨシ)と、「1/8サンデーサイレンス」の配合が、サンデーサイレンスが血統表の3代前=血量にして12.5%にまで希薄された馬たちが、1600m以下のG1を勝ちはじめているのはたまたまの現象ではないと思うのです
今日のマイルCSにしても、ハナを切ったレッツゴードンキ(1/8サンデー)、2番手のクラリティスカイ(1/8サンデー)、3番手のケイアイエレガント(非サンデー)、5番手のアルビアーノ(非サンデー)と、トーセンスターダム以外の先行勢はみんな「1/8以下サンデーサイレンス」
モーリスが唸りをあげながらマイル戦をぶっこ抜くのを見せつけられるたびに、サンデーサイレンスの血が希釈されていくとともに、みんなで唸りながらHペースを追いかけるマイルG1がまた見られるかもしれない、それとともに短距離~マイル路線の復権復興があるのかもしれない、という思いにかられます
1~3着馬については、NETKEIBAと競馬道ONLINEに書いた血統解説をそのまま再掲して終わりにします
イスラボニータ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103565/
母イスラコジーンはミセスリヴィアS(米G2・芝8.5F)2着。フジキセキ×Cozzene×Crafty Prospectorだから中距離馬というよりはマイラーというべき配合だが、「サンデーサイレンス系×Mr.Prospector系」の組み合わせでBold RulerとPrincequilloのクロスだから体質が柔らかく、しかも運動神経が良いのでしなやかに大きくかつ俊敏に動けるのが長所だ。ただし古馬になって肉付きが良くなり、独特のチーターのようなしなやかな全身運動が少し影を潜めてきて、よりマイラーっぽい体型体質にシフトしてきた感もある。ベスト距離は[3-0-1-1]の1800mだろうが、今なら2000mよりは1600mのほうが弾けるかもしれない。
フィエロ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106035/
母ルビーは欧州マイル王ロックオブジブラルタルの全妹。だからミッキーアイル(父ディープインパクト×母父ロックオブジブラル)とは3/4同血の間柄になる。この母方の影響が強い肉量豊富なマイラー体型で、ディープ産駒にしてはパワー型なので、斬れ味で追い込むよりは好位から抜け出す競馬のほうがベターだろう。[4-2-1-4]の戦績どおり芝1600mがベストで、1400mだと後方から差す形になるのであと一歩が届かない。しかも今年のスワンSは4角でぶつけられたし、内容としては上々の2着だったといえる。京都外1600mは[1-2-1-0]、まだ衰えは全くみられないので、昨年2着ぐらいのパフォーマンスは今年も計算できる。
モーリス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011100655/
メジロドーベルなどが出るメジロボサツにさかのぼる牝系で、母母メジロモントレーはAJCCなど重賞4勝。父スクリーンヒーローはJC勝ち馬だが、種牡馬としては母母ダイナアクトレス譲りのスピードもよく伝え、ゴールドアクター、ミュゼエイリアン、グァンチャーレなどを出して成功している。モーリスもスクリーンヒーロー×カーネギー(凱旋門賞)×メジロモントレーという字面は重厚な中距離馬だが、芝マイルの世界タイレコードでオータムHを勝ったダイナアクトレスのスピードを受け継いでいるのは疑いない。ここはぶっつけ本番になったので、仕上がりだけがポイントといえるだろう。今のマイル路線ならばG1連覇は十分可能な力関係といえる。
1/8以下サンデーサイレンス
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/679990a3c23c43e1dd6b66720f24083b
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第32回マイルCS回顧~頑強な新マイル王は「1/8サンデーサイレンス」
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