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Channel: 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
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第79回優駿牝馬回顧~天才少女、眩しすぎる

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東京11R オークス
◎13.アーモンドアイ
○2.ラッキーライラック
▲6.オールフォーラヴ
△3.マウレア
アーモンドアイは桜花賞の頃よりマイラーっぽい肉付きになってきたようにも見えるし、総合的にみて1800mぐらいがベストだと思うが、折り合いはつく馬だから少なくともハープスターぐらいは斬れるだろう。天才少女が意外に苦しみながら勝つところを観たい。
ラッキーライラックはオルフェ産駒としてはベストに近い配合だとほめてきた。母系にシアトルスルーが入ってオルフェ産駒にしてはストライドで走るほうだから、東京2400でもこれまでと同じレースで同じぐらいのパフォーマンスは出せるはず。
忘れな草のオールフォーラヴはややデキ落ちに見えたが、それだけに厳しい流れを勝ちにいって勝ちきったのは評価できる。奥のある素材なのはたしかだし、和田とも手が合うタイプだけに一角崩しの期待。
マウレアは全姉アユサンほどマイラーっぽい体つきや加速ではないので、クイーンSでHペースを追いかけたら苦しくなってしまった。オークス向きだと言いつづけてきたのでここは馬券にしたい。
サトノワルキューレも奥の深さは感じるが、斬れ味や瞬発力よりも持続力粘着力に長けた血統で、それで出遅れて最後方から差し切りということは、フローラSはちょっと相手が軽かったという見立てもできる。リリーノーブルは牝系が大レースと縁がないので、桜花賞以上がのぞめるかどうか。

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終わってみれば桜花賞上位馬が掲示板を独占し、ここもロードカナロアとルーラーシップとオルフェーヴルの娘が1~3着

今月はダービーやオークスに関する原稿依頼をいくつかいただいたんですが、「新進種牡馬のロードカナロア、オルフェーヴル、ルーラーシップについて、産駒が東京2400でどうなのかを中心に書いてください」というような、同じようなオーダーが多かった

そして原稿を書いてみると、アーモンドアイもラッキーライラックもリリーノーブルも1800~2000mあたりがベストで、レーヌミノルやレッツゴードンキやアユサンのようなプリプリのマイラーではないので、2400mに延びるのはプラスはないがこなせるでしょう、というような、距離適性に関してはつまらない書き方しかできませんでしたね

離して逃げたサヤカチャン以外はいつものスローのオークスで、桜花賞上位馬が1800mのレースをつくって桜花賞を再現したというオークスになりましたが、能力が高くストライドで走れる1800型が上位を形成する年は、桜花賞とオークスは最も直結しやすいでしょうね

アーモンドアイは内の桜花賞2,3着馬を見ながら、出たなりで自然とこのポジションになったという感じで、まあカナロア産駒は気性が穏やかなのもあるんですが、少なくともアーモンドアイとステルヴィオに関していえば1600mより1800mのほうがペース的に追走が楽に見えます(ただどちらも、3歳になってだんだんマイラー側に寄ってきたのかなという肉付きにはなってきている)

直線はアーモンドアイだけが別次元の弾け方をしたのも桜花賞と同じで、しかしこの馬は、あれやっぱりロードカナロアのマイラーかいなというウサギのようなフォームでビュンとトップスピードに乗り、スピードに乗ってからはなるほどNureyevやナスペリオンやというストライドでそれを持続する

アーモンドアイの口取りに外れたネコマチさんたちと競馬場で落ち合い、パドックをかぶりつきで見ながら話した感想は
「リリーはマイラーではないね」「ラッキー仕上げ満点」「マウレアはたしかに淋しく見えるけど、こんな馬やから姉ちゃんより距離はもつ」「オールフォーラヴとレッドサクヤ、あのゴトゴトした前がRibot肩です」「トーホウアルテミスの後ろ、これが未完成ハーツの典型」「ワルキューレの後ろの可動が凄い」「アーモンドは適度に前がラトロで、体質はやっぱり一番」「ロサグラウカは思った以上にバラ一族」

距離適性で甲乙がつけられないのならば牝系でつけるしかないので、未だ重賞未勝利のバプティスタ牝系のリリーノーブルは、ここもラッキーライラックを逆転するのは難しいのではないか、というのが予想のキモでしたが、そういう意味では桜花賞組は強かったというより、リリーノーブルは私が思ったより強かった

Kingmambo父系(ルーラーシップ、キングカメハメハ、エルコンドルパサー)×バプティスタ牝系の組み合わせは100%に近い確率でオープン級が出るニックスで、その根拠は何度か書いてきたので過去エントリを掘ってください

ラッキーライラックは桜花賞で出していって勝ちにいったのは正しい乗り方やと私は書きましたが、あれで勝ったのならともかく負けた後だけに、石橋脩としてはここはリリーノーブルの直後が取れればそれでいいか…という頭だったのだろうし、それで悪くないレースができたと思います

でも姉のラルクや近親のミッキーアイルやテイエムジンソクの勝ったとき負けたときのレースと重ね合わせてみても、フォーティナイナーの父系でステラマドリッドの牝系に属するライラックスアンドレースの仔は、行儀よく好位差しするよりは、パワーとスピードでアメリカンにゴリ押ししたほうが勝ち味がある、とは言えるんじゃないかと

これからもトップクラスで走りつづけるであろうラッキーライラックの競走生活において、この敗戦をどう受け止めどう糧にするか、というオークスだったんじゃないかと思います

マウレアとサトノワルキューレはアーモンドの直後という狙ってたポジションで狙ってた競馬、それでウサギになった瞬間にアッという間に置いていかれた

パドックを見るとアーモンド以外で一番目についたのはワルキューレで、あんなふうに歩ける馬はなかなかいないと思うし、血統的にもまだまだ奥があるはずで先々が楽しみだとレースが終わってからもそう思います

でもやっぱりビュンと一瞬の速い脚で差すタイプではないし、本当にトップクラスに完成するのはもっと前で受けて持続力を活かせるようになったときやと思うし、そんなワルキューレが最後方一気でまとめて差しきってしまったということは、このオークスの結果を見てもフローラSはメンバーが一枚落ちだったというべきかと

オークス後は栗山さんたちと府中で痛飲したんですが、くたびれたオッサン4人が昭和の昔話でひとしきり盛り上がった後、「石塚さんや佐藤ワタルさんみたいな、あれぐらいの世代の若い人は凄い人が多いねえ…」と7杯目のトマトサワーを片手にしみじみ

快晴の競馬場のスタンドから観た2018年オークスは、天才少女がウサギになってNureyevになって弾けて斬れるさまは、くたびれたオッサンにはあまりにも眩しすぎて、思わず目をそらしたら隣でネコマチさんが立ち上がって絶叫してました


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