山11R 皐月賞
◎7.サリオス
○5.サトノフラッグ
▲1.コントレイル
△17.ヴェルトライゼンデ
コントレイルはディープ産駒としては配合パターンがダノンキングリーに似ていて、東京1800最強なのも同じだろうが、ダノンに優るとも劣らない性能の高さで皐月もダービーも勝ち負けだろう。こちらのほうが母方にパワーの血が強く締まりの強い体質で、3歳春の時点での完成度は上だ。
同じディープ産駒でもサトノフラッグは配合のベクトルがかなり異なり、リファールのクロスにハイペリオン的なスタミナの血を重ね、欧州的なスタミナや粘着力に特長がある配合だ。ディープブリランテやロジャーバローズのようにダービーを4角先頭で勝てる馬だろう。だから前々走のマーフィーの乗り方がベストだと思うが、ダービーを見据えつつルメールがどう乗ってくるか。
サリオスは540キロの巨漢で、マイルのHペースをうなりながら抜け出すさまはハーツクライ×ロミタスのイメージとは程遠い。母系に入るデインヒルの血を活かした配合パターンだから、デインヒルのパワーの血が強いのだと解釈したい。ダノンプレミアムがディープよりデインヒルに似ているのと同じようなイメージで、これはダービーより皐月賞だろう。タフな馬場は歓迎だし、最後の叩き合い踏ん張り合いになってからがハイペリオンの真骨頂だから、好位から抜け出すハーツクライ産駒は信用に足りる。
ヴェルトライゼンデも距離延びて持続戦になれば食い下がれるが、本格化はもう少し先でもう少し長い距離でか。
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土曜が大雨ですごい不良馬場となり、日曜は朝から快晴で風も強く稍重まで回復しましたが、見た目に内から4~5頭ぶんぐらいが荒れていて、行っても差しても直線ではその外に出した馬ばかりが好走
8R隅田川では1~2着、9R鹿野山では1~3着、そして11R皐月賞では1~6着までを外に出した馬が占めたことからも、直線部分でインを狙うのは無理筋な馬場だったといえます(最終の春興ともなると全馬そこを開けて走ってました)
「クラシックの予想は、とりもなおさずハッとする脚」この格言を桜花賞につづいて持ち出すならば、コントレイルの東スポ杯、サリオスの朝日杯、そしてサトノフラッグの弥生賞、けっきょくこの3つになってしまうんですよね今年は
ガロアクリークとかクリスタルブラックとかコルテジアとか、ダーリントンホールとかマイラプソディとかレクセランスとか、おお強いなとかなるほどしぶといなとは思ってもハッとまではさせられなかったし、だからこれらは勝った直後も絶賛まではしなかったつもりです
ヴェルトライゼンデもPOG推奨で大好きな配合で大好きな馬なのですが、昨日のパドックでも歩きがよすぎるぐらいで、しなやかで重厚ででもやっぱりハッとする脚は一度も使ったことがなくて、私もドリームジャーニーよりマンデラ説、皐月賞より菊花賞説に傾いていきました
もちろん上であげた馬たちも、これから急成長してハッとする脚を使うようになる可能性はあると思っていますが、皐月賞10日前のNETKEIBAの原稿書いてるときに改めて振り返ってみても、ハッとしたレースは上の3つだけでしたね
サリオスについては「大きなデインヒルだけど、父がハーツだからHyperion的な粘り頑張りもある」としか書いてこなくて、もちろんマイラーだと書いたことはないですが、「デインヒルなハーツたち」でもなぜデインヒル的なのかということを説明しておいたつもりです
コントレイルとサトノフラッグはPOGでも推奨したので配合はもともと高く評価しているし、初勝利を見たときから「おお~なるほど思ったとおりの馬や(・∀・)」というぐらいでね、それよりも「そうかサリオス、お前は牛ではなく大きなデインヒルやったんやな。しかしお前もまたすごい馬じゃのう」と、最初は正体がよくわからんかったのがだんだん理解を深めてくるほうが、なんとなく親しみを持ってしまうというのはありますね
もう一ついうと、ディープ2騎はダービーで更にパフォ上げる可能性は高いけれど、パワーと粘りのサリオスは皐月賞がベターに思えたので、皐月で打ちたいのはサリオスやなという気持ちは、もう少し前から固まりつつありました
「パトロールビデオを見ればわかるけど、残り600mからコントレイルは相当大外を通っているし、スピードに乗ってやや膨れ気味。コーナーで内ピッタリ通って走れるタイプではないんかもしれんね。そうなるとホープフルSで弾けなかったのが少し頷けるかも」
と、Mahmoudさんがツイッターでつぶやいてましたが、コントレイルはディープ×Storm Catですから基本はストライドで、今でも東京1800最強説を訂正する気はほとんどなくて、“強靭ダノンキングリー”やと思ってます
それだけに好位から馬群を割るプランAに持ち込めず、大外に持ち出してスピードに乗せて膨れ気味に回ってきたというのは、中山内2000の乗り方としてはベストではなくとも、昨日の馬場バイアスであのポジションになったコントレイルにとっては、ストライドロスなく爆発させたという意味ではベストに近い選択やったのかなと
コントレイルの配合についてはデビュー戦からずっとほめてきたので同じことは書きませんが(下記参照)、Sir Gaylord≒Secretariat的しなやかストライドを産むディープ×Storm Catの黄金配合に、Unbridled's SongやTiznowやRelaunchなどを重ねて北米パワーでちょいと締めて、緩慢になりすぎないようにするというのはアユサンに端を発するプラチナ配合
https://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/33160a31ec0bf3a0b96fdf8628d2d9b7
しかもロードクロサイトはUnbridled≒Jeanoのニアリークロス(UnbridledとIn RealityとBusanda≒Striking≒Better SelfとAnguar≒Vandaleなどが共通)2×3を持つので、同時期のキズナやダノンキングリーなどと比べても締まりが強くて緩さを感じさせず、たとえばノーザンのディープの一番馬という評判もあったアルジャンナ(これも母系にStorm CatとTiznowの黄金配合)なんかもなるほど走る馬なんですが、まだ緩さが残るので急加速できないんですよね
もちろんディープ×Storm Catですからストライドで走るんですが、2歳時から緩さ緩慢さがあまりなく筋力や体幹に強靭さを感じさせるのはUnbridled的やなあ~と思わせる部分で、強靭ストライドはUnbridled's Songの傑作Arrogateと重なる部分もあるかなと思いますね(ちなみにコントレイルの兄姉はダートでしか勝っていない)
サトノフラッグはそういう意味では、今日の馬場で力走するにはしなやかすぎたのかもですが、でもサトノクラウンより着順はいいし、これでダービーの巻き返しが美味しくなったと思ってる側の人間です(笑)馬の良さでは昨日のパドックでも一番でしたからね
例によってNETKEIBAより、1~3着馬の血統解説を再掲
コントレイル
ディープ×アンブライドルズソング×リローンチ×ストームキャットという絵に描いたような黄金配合で、母ロードクロサイトはファピアノとインカンテーションのクロスを持ち、この黄金配合の根拠を更に増幅した形になっている。ダノンキングリーと似たタイプで大箱1800最強、こちらのほうが母方にパワーの血が豊富で締まりが強いぶん完成度は高い。ダノンは皐月3着→ダービー2着だったが、性能でも五分だろう。(距離○スピード◎底力◎コース○)
サリオス
サラキアの3/4同血の弟で、サンタフェチーフの甥。母サロミナは独オークス(独G1・芝2200m)馬。母父ロミタスはドイツの年度代表馬でリーディングサイアー。ハーツクライ産駒で母系にデインヒルとニニスキが入るのはワーケアと同じで、最近のハーツ産駒は母方のデインヒルのパワーが表現された馬がよく走っている。マイルで3連勝だが2000は十分守備範囲とみたい。まだまだ成長の余地もあるはず。(距離○スピード○底力◎コース◎)
ガロアクリーク
メイヒルS(英G2・芝8F)勝ちタレットロックスやスタネーラS(愛G3・芝2800m)勝ちキメアラのイトコ。3代母リヴィエールドールはサンタラリ賞(仏G1・芝2000m)勝ち馬で、子孫にゴルディコヴァやゴールドスプラッシュが出る。キンシャサノキセキ×キングマンボはシュウジと同じだが、本馬は母方のナシュワンのスタミナやリファール4×4の粘着力も強い。とはいえ距離短縮で鮮やかに変わった前走をみると、2000は少し長いのかも。(距離○スピード○底力○コース◎)
3歳世代で猛威をふるいつづけるディープインパクト×Unbridled's Songのニックスですが、このニックスの最初の活躍馬がノースヒルズ産のダコールで、母アジアンミーティアはUnbridled's Songの全妹
ダコールの半妹ルシュクルにもディープやキズナがかけられて、ブランボヌールやエントシャイデンやビアンフェが出ています
ノースヒルズにいた人から聞いたんですが、ダコールは幼少時に首を骨折する大怪我を追ってしまい、あれがなければもっとすごい馬になったんじゃないかと、そんなダコールを愛しつづけたのがさっさんで、さっさんがダコールを本命にすると、必ずと言っていいほど雨が降ってダコールは馬群に沈みました(^ ^;)
セリのときに「うちのダコールがいつも馬券でご迷惑をおかけして…」とノースヒルズのスタッフの方に挨拶されて、「ああ…いえいえ、雨が降るのはさっさんが悪いんですよ!」とさっさんのせいにしたこともあったな(^ ^;)
ノースヒルズのお家芸の集大成というべき配合のコントレイルは、無敗で皐月賞に駒をすすめ、前日は大雨でしたが当日は晴れて外伸び馬場になり、福永祐一を背に大外からストライドでぶっこ抜いた
規格外のコース取りでストライドでぶち抜いてしまうというのは、やり方は違ってもドゥラメンテの皐月賞をほうふつさせるもので、しかもあのときはディープ×Storm Cat×矢作のリアルスティールで祐一がセオリーどおりの満点騎乗で、堀厩舎のドゥラメンテの規格外騎乗の大爆発に屈したというのもね
さっさんとこんな話しながら、またビール飲みたいねえ…うちに化けて出るか?(笑)
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第80回皐月賞回顧~お家芸の集大成、規格外のぶっこ抜き
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