◎2.ステラリア
○12.アカイトリノムスメ
▲4.ソダシ
△10.アールドヴィーヴル
△11.ユーバーレーベン
×1.スルーセブンシーズ
×16.ミスフィガロ
内回り2000で行われる秋華賞は、桜花賞やオークスよりも道中の動きがあって上がりがかかる傾向にある。それは阪神でやっても同じだろう。ソダシはどう見ても阪神外1600よりも東京2400よりも阪神内2000が合っている。この大本命馬がイン好位から抜け出しをはかるのを阻止するには、そのまま内に封じ込めておくのが一番手っ取り早い。ルメールは距離不安のある馬に乗るとむしろ早めに動かすきらいがあるし、マイラーとしてのスピードは一番で、中山でスイスイ捲るファインルージュでジッとしているとは思えない。ユーバーレーベンもヘイローとロベルトのクロスらしいアクションで、ソダシに迫った札幌2歳を見てのとおり持続戦なら内回りを捲れる馬だ。追い切りが良かったのはアカイトリノムスメとソダシで、アカイトリはアパパネの娘だから何でもできるトムフール姉ちゃんで、2000の軽いレースなら好位自在でこれがオークス2着から逆転という絵も描ける。でもやはり秋華賞は持続力勝負になるだろう、というところでオークスにつづいて◎ステラリアに着地した。
エイシンヒカリの娘エイシンヒテンはハナを切ればとにかくしぶとく、逃げて4角先頭のヒテンに先着したのはクイーンCのアカイトリとアールドとククナ、ローズのアンドヴァラナウト、そして忘れな草のステラリアだけ。ステラリアはオークスはイレ込んで大外からうなりながら先行してバッタリ止まってしまったが、あれをノーカンにすれば中距離ではまだ底を見せていない。キズナ産駒にしては軽さや俊敏さには乏しいが、タイトルホルダーやサトノクラウンのような持続力粘着力がある牝馬だと思っている。モティヴェイターの肌は成功すると予想して、今年のキズナ産駒ではこれが最も配合が良いとPOGで推奨したステラリアが、阪神内2000の持続戦を武豊を背に走るのだから、単勝9人気ならここから黙って。アールドヴィーヴルは女アドミラブルの趣だから持続戦想定なら印を。小さなミスフィガロもワグネリアンよりはスタミナで差すイメージだ。
----------
例によってNETKEIBAの全頭血統解説より1~3着を
アカイトリノムスメ
ジナンボー、モクレレ、ラインベックの全妹で、母アパパネは牝馬三冠とヴィクトリアマイルに勝った。本馬は牝のせいか兄たち以上に母に似ており、母譲りのTom Fool走法&自在脚質にディープのしなやかな斬れが加わったイメージで、立ち回りが巧く追ってからシャープに斬れる。同世代の牝馬相手なら能力上位は疑いないし、阪神内2000でもソツのない立ち回りができるだろう。あとはこの5か月間の休養でどれぐらい成長しているか。(距離◎スピード○底力○コース◎)
ファインルージュ
レンプランサやエストの下で、ザラストロの姪で、メイショウチタンのイトコ。母パシオンルージュはJRA3勝。牝祖ココパシオンはシェーヌ賞(仏G3・芝1600m)勝ち馬でココナッツパンチの母。母父ボストンハーバーはクロコスミア、ベルカント、ラプタス、イベリスなどの母父。桜花賞(3着)とオークス(11着)の着順どおり母方のマイラー資質が強いが、紫苑Sは前後半59.7-58.5の後傾ラップを格と性能で完勝。ここもスタミナを温存できるペースなら。(距離○スピード◎底力○コース◎)
アンドヴァラナウト
ゴルトベルクやヴァナヘイムの全妹で、母グルヴェイグはマーメイドS勝ち馬。母母エアグルーヴは名牝名繁殖でルーラーシップの母でドゥラメンテの母母。本馬は父キンカメ×母父ディープ×母母エアグルーヴなので、父キンカメ×母父サンデー×母母エアグルーヴのドゥラメンテと7/8同血の間柄になる。ドゥラメンテの近親では最もドゥラメンテに似た馬で、折り合いに進境を見せ芝2000を好内容で連勝中。長手の体型のストライド走法なので、阪神内回りでどう乗るか。(距離◎スピード○底力◎コース○)
今年の秋華賞は直線が強い向かい風で、公式ラップは12.8-11.6-12.2-12.3-12.3-12.0-11.5-11.3-12.3-12.9、追い風と向かい風を考慮すれば、エイシンヒテンの逃げは見た目ほどいびつなラップでもないんですかね
まあ予想コメントにも書いたように、とにかくハナさえ切ればしぶとい馬で、しかも松若が言うように右回りのほうがスムーズなので、だから札幌でこの馬の単騎を一気に交わしたソーヴァリアントの捲りは速い
だからクイーンC4着やローズS2着と同じぐらいか、もう少し走ったかなという4着で、それぐらいの指標やモノサシとして考えていいんじゃないですかね
前後半のラップは61.2-60.0、マイル寄りのファインルージュが反応よく2着に追い込んできたのとは対照的に、忘れな草でエイシンを差したステラリアがジリジリ詰めただけだったのをみても、中距離馬の持続力よりマイラーの瞬発力のほうが差せる質のレースではあったのだろうと
種牡馬キズナはStorm Catの血脈構成を増幅する配合が成功しており、これまで重賞を勝った産駒8頭のうち、ディープボンド、マルターズディオサ、バスラットレオン(The Minstrel)、クリスタルブラック、アブレイズ、シャムロックヒル、そしてファインルージュの実に7頭が母系にNijinsky≒The Minstrelの血を引いており、つまりStorm Bird≒Nijinskyのニアリークロスをもっています
またボストンハーバーの肌はちょっと軽薄な面があるので、クロコスミア、ベルカント、ウインキートス、イベリスと牝馬がよく走ってますよね
アンドヴァラナウトはドゥラメンテと7/8同血で、ドゥラメンテの近親では最もドゥラメンテに似た良い馬ですが、これを内回りでローズSのように勝たせるのはなかなか難しいイメージもあっただけに、福永祐一の騎乗はあまりにもプランどおりでソツがなさすぎた
ソダシはゲートにぶつかって歯を折っており、ユーバーレーベンは鼻出血、力を出しきれなかった有力馬もいたようですがそれはレースの常で、ただ母ブチコもだんだんゲート内でうるさくなってきて、暴れたりくぐったりが続いてとうとう現役引退となっただけに気がかりですね…
「追い切りは赤い鳥と白い馬が良かった」とみんなに言ってたんですが、まあ牝馬ですから当週は軽め、適度にリラックスして鞍上の指示を待っているような余裕があり、いつでもビュンと反応しそうな、牝馬としては最高の直前追いやったと思うし、ぶっつけでキッチリ仕上げてきたなという印象
牝馬三冠とヴィクトリアマイルに勝った名牝アパパネには、毎年当然のごとくディープインパクトが配されてきましたが、息子たちはモクレレもジナンボーもラインベックもわりとDeputy Minister系のパワーが強く、ディープ産駒にしては力強いけれどややもっさりしたところもある中距離馬で、それに比べると娘のアカイトリノムスメは最もアパパネに似ていると書いてきました
アパパネってのは「3/4Northern Dancer」で他の部分に北米アウトサイダー血脈を散らしただけのシンプルな配合で、Tom Foolの薄いクロスの影響が強い走法で俊敏自在で何でもできるオールラウンダーで、桜花賞を好位差しで勝ち、オークスを4角11番手から差し切り、秋華賞は内回りを型どおりに捲り差し、そしてヴィクトリアマイルは中団からの差しでブエナビスタの追い込みを封じました
そんな弱点皆無のパーフェクトな名牝なのに、2歳夏の新馬戦では福島の荒れたインに突っ込んで3着に負けているのが面白いですが、アカイトリノムスメも新馬戦は7着と謎の負けを喫してます(^ ^;)
そこから余裕の3連勝で牝馬クラシックに駒を進め、レースセンス抜群のTom Foolネエちゃんですから、スタートも上手で難なく取りたいポジションが取れて、そこでジッとしていられてゴーサインに瞬時に反応して、戸崎が乗っても武史が乗ってもルメールが乗っても教科書のような好位差しで、桜花賞もオークスもソダシの直後に即座におさまり、直線でひと脚使うという優等生なレースで健闘
いつも白い馬の直後で、白い馬の陰に隠れていた優等生が、そのセンスや機動力が最大限に活きる阪神内回りの後傾ラップ戦で、型どおりに捲ってついにタイトル奪取となったわけですが、思えばアパパネも3歳G1では秋華賞が最も強かった
アパパネやブチコなど金子オーナーが所有した牝馬には、金子オーナーが所有したディープインパクトやキングカメハメハやクロフネやブラックタイドなどが配されてきたわけですが、ディープインパクト×キングカメハメハでもクロフネ×キングカメハメハでもディープインパクト×クロフネでもG1馬が出ているのはすごいというしかない
何よりも、ソルティビットやブロードアピールを北米で買ってきて走らせてたのも、シラユキヒメを所有し走らせてたのも金子さんなんですよね