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Channel: 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
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第74回オークス回顧〜もちろん配合論の勝利

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東京11R オークス
◎5.デニムアンドルビー
○4.アユサン
△10.リラコサージュ
×16.クロフネサプライズ
×18.トーセンソレイユ
注3.メイショウマンボ
注13.エバーブロッサム
デニムアンドルビーはウインドインハーヘアとミエスクとフェアリードールという3頭の名繁殖を通じる、「ノーザンダンサーとナスルーラとハイインロー」の組み合わせのクロスになっているのがまずポイントだ。ただこれだけだと、持続力や粘り強さはあってもフェアリードール牝系特有のハイペリオン的硬さも受け継ぎやすいのだが、アルザオ≒ラストタイクーンのニアリークロス3×4によってナスキロ柔い体質がオンになって、トゥザヴィクトリーやトゥザグローリーのような頭の高い走りではなく、柔らかく全身を使ってストライドを伸ばして走れるのが素晴らしい。トゥザヴィクトリーはオークスで直線先頭に立ったものの最後の最後にウメノファイバーに差されてしまったが、鋭さと持続力の両方を感じさせたフローラSのあの斬れ味をもってすれば、そしてこういうナスキロ柔い中距離馬を東京2400m向きにつくらせたら当代随一の角居厩舎の手腕をもってすれば、フェアリードール牝系の東京での数々の無念を晴らことができるはずだ。

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デニムアンドルビーは横からみても後ろからみても432キロとは思えないシッカリした体つきで、パドック映像でこの馬やリラコサージュを見ていて思ったのは、Hyperionやハイインローをベースとしている配合馬は、そもそもHyperionやノーザンテーストが小さいことで成功したという側面があるだけに、薄さや非力さを感じるようなつくりでなければ、Hyperion的な頑強さがちゃんと感じられる体質ならば、ことさら体重にとらわれるべきではないのだ…ということを学んだ気がします

3着でしたが大きなところを勝てる脚があることは証明してみせたし、BurghclereとMiesqueとフェアリードールから濃厚に受け継いだハイインロー血脈が、これから名伯楽の手によってどう発現し完成されていくのか、そういう楽しみが増すばかりの3着だったと思います

エバーブロッサムの母サクラサクはSpecialの牝系にNijinsky、フォーティナイナー、デインヒルが配されてNorthern DancerとRibotとハイインローのクロスという物凄い良血で強力な相似配合で、私はかつてエイジアンウインズの妹でエバーブロッサムの姉にあたるキュートエンブレム(父ウォーエンブレム)をPOGで推奨しましたが(^ ^;)、この緊張しまくった自己主張の強い名血の塊を緩和してやるだけで、毎年オープン馬を出して不思議はない繁殖牝馬なのです

ただここにアウトサイダー血脈が強く完全5代アウトのフジキセキをもってきた緊張→緩和のメリハリがあまりにも決まりすぎていて、たとえばダイタクリーヴァと比較するとダイタクバートラムを同格にはほめられないとか、ナカヤマフェスタと比較するとディアアレトゥーサを同格にはほめられないとか、まあそれに近いような感覚はありました(これはダンスインザダーク=トーセンダンスが悪いと言っているわけではないので念のため)

アユサンはだいたい想定ぐらいは走ったというか、(大外枠からずうううっと大外を回り続けたメイショウマンボを除くと)桜花賞組には負けてないわけですから、たとえばマルセリーナよりは2400mをこなしたといっていいだろうし、ここはメイショウマンボとフローラ1着2着のパフォーマンスが単純に上だったということで、なるほど桜花賞を勝つだけのことはあるというパフォーマンスはみせたけれど、ジェンティルドンナのような怪物ではなかったんだね…と背中ポンポンで締めたいです

社台の良血ディープ娘たちをメイショウマンボがねじ伏せたというのは、浦河産のスズカマンボ×グラスワンダーがねじ伏せたというのは、これぞ配合論の勝利でありニアリークロスの勝利なのだ…とうなりたくなりますが、でもサンデーサイレンスが名種牡馬となったのもウインドインハーヘアが名繁殖となったのも配合論の大勝利なのだと私は思っているし、デニムアンドルビーもアユサンもG1を勝つにふさわしい配合だと思っていますから、そういう物言いは正しくないでしょう

しかしメイショウアヤメの現役時代を知っている方ならば実感されることでしょうが、あの典型的なジェイドロバリー牝駒と言っていい1400mベストのトライアルホースに、グラスワンダーを配し、スズカマンボを配し、スプリングマンボ≒ジェイドロバリー2×3、Gold Digger≒Bramalea5×5・5、Graustark=His Majesty6・7×5とすることで、名繁殖スプリングマンボの名血を増幅することで、ジェイドロバリーが入るという唯一最大の弱点を克服してオークスを勝つだけの爆発力を生み出したというのは、これは120%配合論の勝利なのだと私は言いたい

この爆発力は阪神外マイルでこそ発揮されると思って桜花賞で◎にしたけれど、それは望田の馬の見極めや予想センスの問題であって、メイショウマンボのオークス勝利は紛れもなく配合論の勝利であり、ニアリークロスの勝利なのだと、それは声を大にして言いたい

そんなもんスズカマンボだってスズカフェニックスだってサンデー系やないかと、ロゴタイプだって母父サンデーやないかと、それはおっしゃる通りで我々はまだまだサンデーの遺産で食っているわけですが、でも一方で今のこの状況は“サンデー以前”にかなり近いものがあるという実感もたしかにあって、血統屋からみてもいろいろ面白いことになってきてると思うのですよ

名繁殖の血
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/85e34b94326712cb1fd96127296992ec
第73回桜花賞回顧〜大きなディープ娘が、パンツを見せながら差し返し
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メイショウマンボが持つスプリングマンボ≒ジェイドロバリー2×3がちょっと面白い
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/44d2c9a4f7501bd88e77a2c2d9bbb7d7


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