Quantcast
Channel: 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4417

第77回優駿牝馬回顧~「1/4異系」で輝きを増すHalo3×4

$
0
0

東京11R オークス
◎11.エンジェルフェイス
○3.シンハライト
▲13.チェッキーノ
△5.ペプチドサプル
注7.ゲッカコウ
シンハライトはアダムスピークやリラヴァティやアダムスブリッジの下で、母シンハリーズがデルマーオークス(米G1・芝9F)勝ち馬で、母父シングスピールはサドラー系のJC勝ち馬。430キロの小柄で細身でお尻の小さな牝馬で、血統も馬体もスピードの乗りもどうみてもマイラーではなく中距離馬。それだけに中距離馬が楽に追走できるペースになったとはいえ、桜花賞とチューリップ賞の力走は能力の高さと認めるべきだろう。とはいえ、新馬戦だけは◎だったが以降は◎を嫌ってきた馬でもあるだけに、ついに中距離に出てきたからといってここで今さら◎というのも失礼な話で、ならばデビュー前から配合をほめてきて、POGでも推奨してきたキンカメ娘3頭から◎は選びたい。チェッキーノはコディーノより体型に伸びがあるしハイペリオン的に実直に伸びるし気性も穏やかなので中距離馬とみていいだろうが、キンカメ産駒を東京の大レースで買うならナスキロクロスがあったほうが買いやすいので、母系にサーゲイロードを引くエンジェルフェイスを◎とした。母父がパワー型テハノランなので鋭い斬れ味に欠けるところがあるが、全姉レディアルバローザはヴィクトリアマイルでHペースで先行しアパパネ、ブエナビスタと接戦の3着。上がりだけの競馬にさえならなければ、先行して二枚腰を使えるはずだ。アットザシーサイドは母方のマイラーっぽさが出ているのもたしかだが、キングマンボ≒タックスヘイブンのニアリークロスで小脚を使うのが東京の中距離でどうか。いつも持続力を感じさせる末脚で伸びてくるペプチドサプルと、オークス2着チューニーの孫ゲッカコウの先行流れ込みをヒモ穴で拾う。

--------

チェッキーノは予想コメントにも書いたように、全兄コディーノと比較してみても、この牝系特有の前向きすぎる性格を受け継いでないし、体型に伸びがあって脚が長くお尻は小さくて、やはり細身で脚長でお尻が小さいシンハライトともども、パドックで実馬を見てもマイラーではなく中距離馬と言うしかなかった

そんな中距離馬2頭がマイルの桜花賞路線でもほぼ不敗のままでオークスに駒を進めてきたのだから、終わってみれば中距離馬としての性能が2頭だけ図抜けていて、何回やっても東京芝中距離で脚をタメて上がり33秒前半を叩き出せるのはこの2頭だけなのだ、という事実が浮き彫りになったレースでした

そしてデンコウアンジュを弾き飛ばしながら追い込んできたシンハライトの脚はまた別格で、シンハライトとチェッキーノが図抜けていたオークスだったけれど、2頭の間にも着差以上の力量差があることを皆さん実感されたことでしょう

ペースや展開が云々とか、距離やコースが云々とか、そんな細かい話をする意味があまりないぐらいに、能力差が浮き彫りになったオークスやったと思います



エンジェルフェイスはパドックで気合いが乗りすぎていて、返し馬でも一頭だけ逆方向に行って集合直前まで馬を落ち着かせてて、あれをみるとまだこの大舞台で、持てる資質を全て発揮できる段階には達してないのだろうなあ…とテンションだだ下がりでしたが(^ ^;)、でも先行馬には厳しい展開のなか、直線で一瞬反応したあたりに姉に比肩するぐらいの素質はかいま見せたのではないかと

シンハライトの今日の馬体重422キロは、ディープ産駒のG1勝ちとしてはジョワドヴィーヴルの418キロに続く軽さで、こういう母も母父も中距離馬の小さなディープ産駒が3歳春のクラシックを勝ったのは初のケース

振り返ってみても、ブランボヌール、キャンディバローズ、レッドアヴァンセ、メジェルダ、ラベンダーヴァレイ、この世代のディープ牝駒は、「母or母父マイラー」に大物がいなかった、という言い方もできるかも

母父SingspielはジャパンCで女傑ファビラスラフインと叩き合った名中距離馬で、Sadler's Wellsの直系ながら母父がHaloなので軽いスピードにも優れ、このJCのラップが59.4-24.1-60.3で2.23.8、世界トップレベルのスピードの持続力を見せつけた勝利でした

シンハライトもジェンティルドンナやハープスターのような際立った爆発力でビュンと差すわけではないのですが、速い脚を600mぐらい同じように持続的に使えるところは半分Singspiel的で、だからいつも着差的には辛勝で圧勝することがないんですが、僅差の叩き合いを勝ちきってしまう勝負強さもまた特筆もの

母母BaizeはNorthern DancerもTurn-toもNasrullahもRaise a Nativeも持たないというまさにアウトサイダー血脈の塊で、そこにHaloとNorthern Dancerの組み合わせのSingspielとディープインパクトを連続配してHalo3×4、Northern Dancer5×5としたメリハリが良い配合で、Baizeの部分が見た目に「1/4異系」になっています
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013105906/

やはりアウトサイダー血脈の塊Much Too RiskyにMachiavellianとネオユニヴァースが配されてヴィクトワールピサ(Halo3×4)が出たり、アウトサイダー血脈の塊NegligentにSingspielとストリートセンスが配されてフリートストリート(Halo5×4、Northern Dancer4×5)が出たり、アウトサイダー血脈の塊RiviereにサザンヘイローとOrpenが配されてマルペンサ(Halo4×3)が出たり、このように3/4でHaloやNorthern Dancerのクロスを重ねることと、1/4にそれとは縁遠い異系を注入することを同時に考えなければならない、というのが『日本サラブレッド配合史』の考え方の幹で、私がサトノダイヤモンドをいろいろと評価しているのは、突き詰めればマルペンサの配合を評価しているからなのです(GalileoがSadler's Wells系で突出した大成功をおさめているのも、極言すればドイツの名血Allegrettaを1/4異系としているからに他ならない)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a011cdc/

シンハライトとアダムスピークが出るのですからディープインパクト×シンハリーズは好配合というべきだし、他にリラヴァティやアダムスブリッジも産んでいるシンハリーズは紛れもない名繁殖牝馬ですが、ディープインパクト×シンハリーズの血統表をもう一度眺めながら、「1/4異系があるからこそ、HaloやNorthern Dancerのクロスが更に輝きを増すのだ」ということをもう一度噛みしめて、オークス回顧を終わりにしたいと思います


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4417

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>