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Channel: 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
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第69回朝日杯FS回顧~今年もディープ×デインヒル、今年もプリケツ最強

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阪神11R 朝日杯FS
◎3.タワーオブロンドン
○1.ダノンプレミアム
△10.ステルヴィオ
×2.フロンティア
注4.ライトオンキュー
ダノンプレミアムは母が持つダンジグ4×3の影響で、この時期のディープ産駒にしては後駆が強靭で、“お利口なミッキーアイル”という趣がある。ここもパワーとスピードで圧倒のシーン十分。タワーオブロンドンは二つのニアリークロスを軸にした好配合で、全体にミルリーフの斬れ味も増幅しており、ゴーンウエスト系のマイラーにしては追ってシッカリ斬れる。末脚の質はショウナンアデラのようなイメージだ。母父ダラカニは凱旋門賞や仏ダービーに勝った名馬で、その父ダルシャーンも仏ダービー馬。フレンチな斬れ味をよく伝えるラインだが、こういうフレンチな斬れ味で差す馬に乗せたらフレンチの鉄人が一番達者で、たとえば母父ダルシャーンのレッドエルディストもルメールとのコンビでは2戦2勝だ。ルメールがデビュー戦からコンビを組みつづけてタメて差すケイバを教えてきて、京王杯ではそのイメージどおりに斬れただけに、阪神マイルでも斬れ味が鈍ることはないだろう…という信頼感がある。

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ダノンプレミアムとタワーオブロンドンについては12/15のエントリ(朝日杯にまつわる…)であれこれ書きましたので、もう血統解説的に付け加えることもあまりないので以下をご一読ください
朝日杯にまつわる血統の話(1)
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/3fa9b735b79a9fb5b3f5d0ef1994c0a0
朝日杯にまつわる血統の話(2)
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/02dd27e23ba118c092d441bbf72dcfa0

ダノンプレミアムの強力な武器は、母が持つDanzig4×3由来、最強の後駆を誇るデインヒル由来のプリケツで、今日もポンと出たスタートがまず圧巻だったし、今日も好位でうなりながら上がり1位33.6を叩き出すというエゲツない勝ち方でした



上記エントリでも書いたように、サウジアラビアでは直線の坂の部分で後続を突き放しにかかっており、今日も川田が追い出すと、ゴール前の急坂で後続との差が更に広がってしまった

スタートの良さと坂での加速、これがデインヒル譲りの強靭な後駆のパワーを裏づけています

昨年は母父デインヒルのサトノアレスが勝ったので、朝日杯は2年連続で母系にデインヒルの血を引くディープインパクト産駒の勝利となりましたが、ディープの2歳では10月のレーシングポストT(英G1・芝8F)に勝ったSaxon Warriorも母母父デインヒルですね



あとディープインパクト×Robertoは牡馬しか走らないという話は上記エントリでも書いていますが(ディープインパクト×Intikhabはサトノラーゼンと同じ)、朝日杯で怪物的な勝ち方といえばRoberto×Danzigのグラスワンダーをも思い起こします

ほめてばかりいても仕方ないので今後の課題をあげるとすれば、デインヒルやDanzigが強い体型と強靭な後駆に頼った走りをマイラーっぽいと見る人は多いだろうし、好位でうなりながらも我慢がきいているお利口さで、皐月賞も乗り切れるかどうか…というのがまず一つ

もう一つ重箱の隅をつつくとすれば、これだけ凄い後駆をすでに手に入れてしまったということは、うがった見方をすると今後大きな成長や上積みは見込めないのでは…という点ですかね

TARGET調べによると、「デインヒルの血を引き、2歳時に1600m以下のJRA重賞で連対した馬」は、サトノアレス、ソウルスターリング、ココロノアイ、サイモンゼーレ、ストーミーカフェ、ミスエルテ、ラッシュライフ、レオパルディナと8頭います

このうち3歳以降に重賞を勝ったのは、今のところソウルスターリングとココロノアイとストーミカフェの3頭ですが、どうですかね、ソウルは中距離馬としてそれなりの成長曲線を描いているとは思いますが、3歳以降大きく成長したという馬はあまりいないんじゃないかと(2歳世代ではダノンプレミアムとカシアスが該当)

デインヒルの血を引きマイラーやスプリンターとして2歳時から一線で活躍するような馬は、デインヒルが誇るプリケツを早期に受け継いでいるがゆえに、3歳以降に劇的な成長を遂げることはあまりないのかもしれない…という仮説は、同じくプリケツを引いたサトノアレスやサトノアーサーのその後を見ても、間違いとまではいえないのではないかと

いやもうあまりにも強いのであえて課題らしきものをあげてみたまでで(^ ^;)、現時点での元値が高すぎるのは間違いないので、私は上記エントリで“お利口ミッキーアイル”と名づけましたが、ミッキーを超える活躍をつづける可能性もあると思いますが



タワーオブロンドンはいかにもGone West系の短距離型という肉付きのいいコロンとした体型なんですが、パドックを周回すると実にしなやかな動きで、この体質がDarshaanでありMill Reefなのだと改めて思わせます

とはいえ、今後はもっと短距離にシフトしてくることは容易に想像できるし、マイルで大きいところを狙えるのは今のうちだろう、という頭もありましたね

今日はダノンの直後を取っての追走、ダノンを負かさないと勝てないのですから勝つためにはこう乗るしかなかったのですが、Darshaanらしい末脚を100%引き出しての勝利だった京王杯と比べると、ダノンを意識して乗られたがゆえに最後苦しくなってしまった…という見方も

母系に入るDarshaanは日本の高速芝で斬れるんだとよく書いていますが、一方で斬れに頼りすぎたレースになってしまうきらいもあり、デンコウアンジュやレッドエルディストやトルークマクトなんかが典型ですが、半ば死んだふりして末脚に賭けたときにこそ映えるような斬れ味ではあるのです

日本でのDarshaan持ちのG1馬といえばダノンシャンティとサニングデールですが、この2頭ですらG1を勝ちきったときは後方一気、末脚特化のレースでした

まあどう乗っても今日のダノンを負かすのは難しかったんですが、ああいうふうに乗ると意外に頼りないところがDarshaanにはある

ステルヴィオはほっそりした体型やトモの肉付きなんかとみるとたしかにチャキチャキのマイラーには見えないし、キンカメとFairy Kingとトウショウボーイですからカナロア産駒としてもナスペリオン的なストライドで、たとえばエアグルーヴ牝系とかスキッフルの産駒とか、あのへんに通じる重厚なストライドで走る馬です

だから毎日王冠やエプソムCあたりがピンポイントに思えますが、11.4-11.4-11.4でずっと伸びつづけるような末脚なので、あまり上がり特化すぎるレースは向かないかなと


Nureyev≒Fairy Kingの3/4同血クロス5×3を軸に、Special、Mill Reef、Hornbeam、テスコボーイと、ナスペリオン(NasrullahとHyperionの組み合わせ)を脈絡させた配合
母母アズサユミにNorthern Dancerの血が入らないので、「3/4Northern Dancerクロス」というカナロア産駒としてオーソドックスな好形でもある


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