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Channel: 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog
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第51回高松宮記念回顧~非サンデーのカナロア、頑強さを増しついに短距離王の座に

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中京11R 高松宮記念
◎2.レッドアンシェル
○14.ダノンスマッシュ
▲4.モズスーパーフレア
△3.ライトオンキュー
△16.レシステンシア
×17.サウンドキアラ
注8.エイティーンガール
注10.ラウダシオン
中京は昼からけっこう降る予報。昨年と同じかもう少し悪い馬場も想定しておきたい。
出走馬のなかで有力なピュアスプリンターはダノンスマッシュとモズスーパーフレアで、ダノンは非サンデーのカナロア産駒で昨秋はますます頑強になって香港スプリントを差し切ってしまった。今なら道悪もこなしてしまうケースは一考。
モズは母父のパワーも受け道悪もOK、ただここは後続がレシスとセイウンなら競られたり突つかれたりはないだろう。ピュアスプリンターだからこそ前傾ラップでガンガン行くべきだと思うが、中京1200は向正が長いだけに松若がどう逃げるかがまだ読みきれない。
「通常より中京の開催が多いので、タフな馬場になるのを見越して高松宮を目標につくってきた」という昆師のコメントは説得力があるが、じゃあなんでここでノリなんだというのが穴人気にもなっているだけに引っかかる。ここが大勝負ならば、ここまで乗せつづけたのならば、もうラントオンキューは最後までフルキチでいいじゃないか。
重で1400質のレースになればレシステンシアがコパノリチャードする絵は描けるが、馬券はレッドアンシェルから買ってみたい。父マンハッタンカフェはアウトブリードのステイヤーで菊と有馬と春天に勝ったが、産駒はクイーンズリング、エーシンモアオバー、フミノイマージン、ガルボ、シャケトラ、そして昆厩舎のヒルノデイバローなどなど、概ね晩成で息が長い。
レッドアンシェルはトムロルフの薄いクロスの影響で、コロッとしたスプリンター体型で掻き込みの強いピッチ走法で、道悪は鬼だしちょっと前半緩んだほうがピッチでインをすくえるという読みはできる。池添なら北九州のようなイン差しを狙ってきそうで面白い。ライトオンキューの直後から、7歳マンカフェが泥んこになってインを切り裂く。

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父が北米の快速種牡馬Speightstown、母父Belong to MeからはDanzig系の屈強な後駆を引いたモズスーパーフレアは誰が見てもピュアスプリンターで、前後半32.8-34.4で逃げまくって2着に踏ん張った19年スプリンターズがベストレース

ただ昨年の高松宮は重で34.3-34.5でジワッと逃げて寸前で捕まったものの繰り上がり1着、これが伏線となっている気がして、もしかしたら今年も前傾ラップでガンガン行くことはないかも…という話はしていたんですよね

スタートから5完歩でもう1馬身前に出ていただけに、気合もつけられることなくハナに立ったモズ自身のラップは前後半34.1-35.4、まあ難しいところですが、直後をダノンファンタジーが馬ナリで、ラウダシオンがかかり気味で追走するというのは、1200のG1としては速いペースとはいえず、モズのピュアスプリンターとしての資質を全開できたレースとは言えなかったのではないかと

1200のG1だけど1400質のレースになったというのは昨年と同じで、ピュアスプリンターではないクリノガウディーやグランアレグリアが1400馬の末脚で差し込んだように、レシステンシアやインディチャンプは中団から差してきたというべきかと

ゴール前でモズを差して4着となったトゥラヴェスーラは昨年のクリノガウディーぐらい走ったというべきだし、それよりも格上のG1馬が今年は3頭いたわけで、ダノンスマッシュが前後半34.9-34.3、レシステンシアが34.7-34.5、インディチャンプが34.8-34.5、インディチャンプにとっては阪急杯で得た経験値で追走できてひと脚使えるレースでした

レースそのものはG1馬がG1馬の脚を見せて叩き合って見ごたえがあり、やっぱり内外公平なバイアス(つまり内が少し悪いぐらいのバイアス)が一番面白いレースになりやすいですよね

例によってNETKEIBAの全頭血統解説より、リード文と1~3着を

Danzigやテーストの急坂向きパワー優位 最近はStorm Catの血が台頭
最近はフォーティナイナー系が強いレースだが、今年の出走予定馬にはセイウンコウセイしかいない。急坂コースのスプリント戦だから後駆のパワーが重要で、Danzigをもつ馬(モズスーパーフレア、ミッキーアイル、ナックビーナス、ショウナンアンセム、アルビアーノ)とノーザンテーストをもつ馬(ビッグアーサー、レッツゴードンキ、ナックビーナス)の活躍が目立つのは順当といえる。モズスーパーフレア、ミスターメロディ、ダイアトニックと、最近はStorm Catの血の台頭も目につく。

ダノンスマッシュ
母母ハリウッドワイルドキャットは北米G1を3勝しBCマイルのWar Chantを産んだ。ロードカナロア産駒で母系にRobertoとDanzigが入るのはファンタジストと同じ。母はRoberto4×3で、自身はミスプロ4×4。全体に父母のパワーの血を増幅した配合で、サンデーの血が入らないので、古馬になってスプリンターとしての頑強さを増してきた。香港スプリント父子制覇は見事で、今が脂が乗りきっている時期だろう。(距離◎スピード◎底力○コース◎)



レシステンシア
母マラコスタムブラダはフィルベルトレレナ大賞典(亜G1・芝2200m)勝ち馬で、本馬の他にもグラティアスやミッキーブラックを産んでいる。3代母プルマは亜2歳女王。母方にスタミナや底力に富む血が入るので、大レースをHペースでゴリ押しできるダイワメジャー産駒だ。上がりのケイバだとあまり味がないのはアドマイヤマーズやメジャーエンブレムと同じ。阪急杯はレコードで逃げ切ったが、マイラーなので1200だと好位差しになりそうだ。(距離○スピード○底力◎コース◎)



インディチャンプ
アウィルアウェイの3/4兄で、母母トキオリアリティーはリアルインパクトやネオリアリズムなどを産んだ名繁殖。ステイゴールド×キングカメハメハはステイフーリッシュと同じ。母方の影響も強いマイラー体型で、運動神経抜群で現役屈指の俊敏加速を誇る。今が全盛期と言っていい晩成血統で、マイルCSも勝ち馬は強すぎたがレース内容は満点。ただここ2走は1400のHペースで追走に脚を使うのか意外に弾けず。1200への対応に不安が残る内容ではあった。(距離○スピード○底力◎コース◎)



終わってみればStorm CatとDanzigをもつダノンスマッシュが勝ち、ノーザンテーストとDanzigをもつレシステンシアが2着やったわけですが、枠順的にも川田はレシスを前に見ながら馬場のいいところを回って差すというプランが立てやすく実行しやすかったでしょう

ダノンスマッシュの母母Hollywood WildcatはBCジュヴェナイルなどに勝った北米3歳女王でRobertoとMr.Prospectorを通じるBramalea≒Nashua3×3、母父ハードスパンはキングスビショップS(米G1・ダ7F)に勝ったDanzig直仔で、スピニングワイルドキャットはRoberto4×3のクロス



そこにロードカナロアが配されたダノンスマッシュはMr.Prospector4×4となり、Mr.ProspectorとRobertoとNureyevのNashua≒Nantallah的トライアングルをメインに、全体にHollywood Wildcatの血脈構成を増幅し活かした配合といえますかね

スピニングワイルドキャットは輸入されてからこれまで8回のうち6回ロードカナロアが配されており、ケイアイファーム期待の繁殖ですから当然といえば当然なのですが、スピニングワイルドキャットが輸入されたのが2013年、種牡馬入りするカナロアに合いそうな繁殖という目論みも含んでいたのでしょう



シャヒーンで圧巻の逃げ切りを決めた直後に逝ってしまったZenden、その血統表を改めて見ると、父Fed Biz(Northern Dancer≒Icecapade4×3・6)はStorm Cat×Yarnなのでヨハネスブルグみたいなマイラー、母父Sharp Humor(Mr.Prospector3×4)はスウェールS(米G2・ダ7F)に勝ったスピード馬で、母母Livermore LeslieのところだけはNorthern DancerもMr.Prospectorも皆無でCrimson Satan3×3という好配合でした

Storm CatとフォーティナイナーとWoodmanが3列編隊になって、Wild Again的一本気にまかせてガンガン行ったらもう手がつけられない逃げ切りで、このZendenの逃げをもう見れないのは残念と言うしかないのですが、いつも思うのは短距離の国際レースに入ると、レッドルゼルのような日本馬だけがみんなしなやかな差しに見えるんですよね

それぐらい北米や香港や豪州は、Zendenみたいなパワースプリンターが同じレースに何頭もいてガリガリやり合うレースを日常的にやってるわけで、いつも言うように競馬の土壌が違うのだというね

ダノンスマッシュは毎年スプリンターとしての頑強さを増してきて、今年はついに道悪も克服してみごとに勝ちきったわけですが、ダノンスマッシュとかタワーオブロンドンとか、ミスターメロディとかファインニードルとかビッグアーサーとか、非サンデーの頑強短距離王は毎年1頭ぐらい出てるんですがね(ファインニードルは1/8サンデー)

このレベルのピュアスプリンターが5頭ぐらいうなりながらゴリゴリ先行する、そんな高松宮を見てみたいなあ…というのは、サンデー大国、芝中距離大国へのないものねだりなのかもしれません


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