東京11R 日本ダービー
◎6.サートゥルナーリア
○13.ヴェロックス
▲7.ダノンキングリー
△18.シュヴァルツリーゼ
3強はそれぞれ良血かつ好配合で、血統の美点が余すところなく表現されていて掛け値なしの一流馬だ。ここも素晴らしいレースを見せてくれるだろう。
近10年の日本ダービー馬で古馬になって2400m以上のG1を勝ったのはオルフェーヴルだけ。毎年同じことを書いているが、最近のダービーは「父中距離×母マイラー」で2000ベストの馬が勝ちやすいレースだ。
サートゥルは「父マイラー×母中距離」、ダノンは「父中距離×母マイラー」でともに2000ベストだろう。ヴェロックスだけは「父中距離×母中距離」で2000より2400ベターとみれば、川田がキッパリ先行してまた2着惜敗というシーンが浮かんでくる。
ダービーはテン乗りでは勝てないと言われるが、種牡馬ロードカナロアの最も優れている点は折り合いや馬群に不安がない従順な性格だろう。兄のエピファネイアやリオンディーズは引っかかる心配が常にあったが、サートゥルはいつも思いどおり競馬でプランどおり勝つし、体型や血統からして大箱の2000mが最も爆発できる条件だから、ここも好位からヴェロックスを射程圏に爆発するとみた。
ダノンキングリーも素晴らしい馬でワグネリアンより性能は上ではないかと思うほどだが、エポカドーロやエタリオウよりも◎○は手強い。
穴はやっぱりシュヴァルツリーゼで、ハーツ産駒だから東京のほうがいいのは間違いないし、母父モンズンは馬群を嫌がるところがあるから皐月の大敗は度外視できる。この枠なら腹をくくって弥生賞のように大外一気だろう。
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今年はセリ関係の仕事にスケジュールを合わせなければならず、ほんとに10年ぶりぐらいにダービーを観ることなく帰札したんですが、日曜はちけぞう宅に札幌競馬オヤジが集結してダービーやPOGを肴にワイワイ飲んでました
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メテオさんからは自慢の嶋倉豚が計1キロ…相変わらず脂が美味い(・∀・)
でっかいプロジェクタースクリーンで見た第86回東京優駿は、当然のごとく3強の動きを中心に追いかけていたので、「おおおこれは戸崎勝ちそう!」「やっぱり3強みんなきたか!」「えええええロジャーバローズ!?」
ダノンキングリーの戸崎は前のロジャーバローズか、外からくるサートゥルナーリアとヴェロックスか、直線でどっちに併せにいくか迷った節もあって、最後フラフラしたのはもちろん苦しかったんですが、苦しくてかつ1頭になってしまったからではないかと…まあ私が戸崎でもあれは迷います…
シュヴァルツリーゼの石橋脩が「皐月賞は馬群に突っ込んでみたら全然走らなかった」とコメントしていて、この大外枠なら弥生賞のような大外一気で巻き返すのではないかという期待はありましたが、何度か書いているように母父Monsunは逃げたときの成績が非常に優秀なのです
Monsunの母母父父は底力と気難しさをよく伝えるAureoleですが、実は母父Monsunはみんな根っこはジョディーみたいな気性で、ヴェロックスもシュヴァルツリーゼも、ソウルスターリングもシェーングランツも、大なり小なりAureole魂を抱えていて馬群はイマイチなんじゃないか…という話をダービーの前にしてました
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サートゥルナーリアはマイラー×中距離、ダノンキングリーは中距離×マイラー、どちらも2000mで爆発できる馬ですが、ヴェロックスは中距離×中距離だからむしろ2400のほうがベターなぐらいで、爆発力では一枚譲るけれどHyperion的にしつこい脚質ですから川田と手が合うタイプでもあります
だから川田ならば、サートゥルやダノンの爆発力を殺ぐためにも、早めにレースを動かして直線先頭に立ってHyperionを振り絞り、持続戦に持ち込むようなハラで乗ってくるのではないか、という読みはたしかにできました
ただヴェロックスも実は馬群に入るようなケイバは一度しか試されておらず、その東スポ杯はジワジワ差してきて4着でしたが、レースを見直してみると馬と馬の間を割るのを少し躊躇しているようにもとれる
川田をもってしても大一番で意外に消極的なレース運びになってしまったのは、サートゥルが出遅れて後ろからになってしまったことも一つあるでしょうが、隙あらば内に入れていこうというような意思もほとんどなかったように見えます
ゴール前の脚色は一番良くてヴェロックスをジワジワ差し返して3着、ワールドエースのような末脚で、ドイツ+Hyperionな持続力で追い上げてきたというべきですが、逆にいうとHyperionが差しに回ってはここまで、川田としては悔いも残ったレースでしょう
サートゥルナーリアはパドックでは落ち着いて周回してましたが、返し馬でテンションが急に上がってきたようで、ゲート内で立ち上がって出遅れ、イン伸び馬場の外々を吹かしながら追い上げて、それでも直線半ばでは2着まできそうな勢いでしたが最後はさすがに止まってました
このペースで早めに脚を使うと2400は少し長かったということになりますが、終わってみれば3強は3強で1強ではなく実力差はほとんどなくて、距離適性や道中のロスや不利によって着順がコロコロ変わるぐらいの接近した力関係であり、今回はサートゥルが後塵を拝してしまう結果に
でも直線でヴェロックスをビュンと一気に交わしたあの脚、みんなが声を出して身を乗り出したであろうあの瞬間、あんな脚を使える馬は他にはいないし、あそこが2019年日本ダービーのハイライトだったことは疑いない
これも前から書いてることですが、レーンはルックトゥワイスのようないわゆるズブい馬、道中手を抜こうとするような馬を集中して走らせるのは達者ですが、コントラチェックやサートゥルナーリアのような鋭敏で繊細で一生懸命走りすぎるような馬をなだめながら乗るのはそれほど上手ではない、ということであって、ダービーとオークスの結果だけで手の平返されるとすればちょっとかわいそうだ…と書いておいたのはそういうことで、有望な若手ジョッキーであることは疑いないのでね
いつでもどこでも同じぐらい強い名馬なんてなかなかいないのと同じで、いつでもどこでもどんな馬に乗っても同じぐらい上手な名ジョッキーもなかなかいないです
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ロジャーバローズの母リトルブックはドナブリーニ(英G1馬でジェンティルドンナやドナウブルーの母)の3/4同血の妹にあたり、つまりロジャーとジェンティルは7/8同血ということになりますが、ジェンティルドンナが牝馬三冠を達成した後に飛野牧場さんがリトルブックを購入し、そらまあこれ買ったらとりあえずディープつけるでしょうが、それにしても6年連続ディープインパクトが配されてきたのはすごい
ダービーが終わった直後、この組み合わせ血統表を知り合いの生産者や馬主に一斉配信したんですが、「二番煎じと言われようが未勝利の牝馬を高額で購入しディープをつけつづけることはなかなかできないし、そしてこの結果を出されたらマイッタというしかない」というような声が多かったですかね
7/8同血ですが残りの1/8、Mysterialの部分がAlzaoとニアリー(LyphardとPocahontasとナスキロなどが共通)になっている点には注目でき、どなたかがコメントされてましたがジェンティルよりもLyphardのクロスが一つ多くなります
ジェンティルと比較すると、まず牡牝の違いが一つありますが、俊敏さと力強さでは劣るが、よりLyphard的粘着力とナスキロ的ストライドとSeattle Slew的胴伸び体型がONになりやすい配合、と言えるのではないかと
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ジェンティルはスローの上がりのケイバをDanzig的ラトロ的パワーピッチで一気に抜け出すのが真骨頂でしたが、こちらは粘着力のあるストライドでワンペースで走る大箱向き中距離馬に出ました
「これはディープブリランテ(Lyphard4×5)みたいな勝ち方!」とレース直後に書いたのはそういうイメージですが、2戦目の紫菊賞では「内2000ならば3/4アドマイヤラクティの○アドマイヤジャスタよりも7/8ジェンティルドンナの◎ロジャーバローズのほうが小脚がきくんじゃないか」という予想やったんですよね
その見立ては実は間違いで、実はあまり小脚がきかず緩慢な持続ストライドで走る馬で、だからディープ産駒ながら差しに回るとあまり味がなくて、これで4角で2番手以内にいたときは[1-3-0-0]、京都新聞で浜中が逃げてみたのがまず大正解でした
そういうことは京都新聞をみればだいたい理解できるんですが、京都新聞の内容をここに落とし込んでも、かつ先行有利のレースに持ち込めたとしても、3強に先着して勝ちきるというまでの絵は全く描けませんでしたね
母父Librettistはジャックルマロウとムーランドロンシャンに勝った一流マイラーで、「母父がDanzig系のマイラーで、母がNorthern Dancer系の強いクロス」というのは、ジェンティルやサトノダイヤモンドやミッキーアイルと同じでダノンプレミアムともだいたい同じで、Danzig的プリケツを引きやすいので早期に後駆に肉が付きやすいので、ディープ産駒としてはPOGで最も狙いやすい配合パターンなのだ、ということは何年も前から書いてます