今帰ってきましたが、例によって飲みすぎたので、今日は血クリ再掲でおやすみなさいということで…
感想を一言述べるとすると、レッドオーヴァルはバッキバキに本格化しておりますな
アヴニールマルシェ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104552/
サンブルエミューズやグレナディアーズの3/4弟で、トライアンフマーチやインペリアルマーチの甥。母母キョウエイマーチは桜花賞馬。母ヴィートマルシェはフレンチデピュティ×ダンシングブレーヴ×ブレイヴェストローマンでNorthern Dancer4×4とナスキロラトロのクロス。そこにディープインパクトが配されたのが本馬だから、ボレアス=マウントシャスタ=カミノタサハラ=ベルキャニオンのクロウキャニオン4兄弟(母がフレンチデピュティ×Caerleon×Never BendでNorthern Dancer4×4にナスキロラトロのクロス)とやってることは似ている。ただクロキャニ4兄弟のほうがDamascusのパワーを活かした配合をしているぶんとVaguely Nobleが入ってBurghclere≒Aureoleのニアリークロスを持つぶん、ディープ牡駒の中距離配合としては少し上だろうという評価をしてみたい。クロキャニ4兄弟と比較するとパワーとスタミナの補強が少し弱いので、そのぶんSir Gaylord的柔らかさが前面に出たのがアヴニールマルシェ、という見方で現状いいのではないか。新馬戦は超スローで上がり11.1-11.3、ダイワメジャー×ロックオブジブラルタルのロジチャリスがパワーとピッチで抜け出すところを、しなやかな斬れ味で悠々とナデ斬った。母系にダンシングブレーヴが入るディープ産駒(Alzaoとダンシングブレーヴを通じるLyphardとSir Ivor≒Droneのクロス)にはスマートレイアーやサトノルパンがおり、体型や距離適性は異なるものの斬れ味の質という点では似たものがあるし、またSir Gaylordのクロスをもつディープ産駒にはトーセンレーヴ=ジョワドヴィーヴル兄妹がいるが体質的には近いものがある。東京や外回り向きの柔らかしなやか中距離馬でベストは2000mぐらいだろう。
ハープスターは62.0-32.5、イスラボニータは61.3-33.7、モンストールは61.1-32.7、ジャスタウェイは61.3-32.6、マイネイサベルは61.0-33.5、マイネルラクリマは先行して60.4-34.1。マイラーというよりは中距離寄りの馬が、1000m通過61秒ぐらいで脚をタメて、上がり32秒台を叩き出せばだいたい差しきれるのが新潟2歳S。ただ最近の勝ち馬と比較すると体質がナスキロ柔すぎるぶん、マイルの緩みないペースへの対応力は少し落ちるかもしれない。あまり急かしてついていこうとせず、斬れ味だけでナデ斬ってやろうという大胆さが北宏にあれば、今年の新潟2歳も素質馬の大外一気でケリがつくだろう。
ミュゼスルタン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104118/
母アスクデピュティは平地5勝のオープン馬で、その母マルカコマチは京都牝馬特別(現京都牝馬S)勝ち、その半兄にステイヤーズSのインターフラッグがおり、牝祖ハニードリーマーからはユートピアやアロハドリームなどが出る。キングカメハメハ×フレンチデピュティでNorthern Dancer5・5・7×5だが、母母マルカコマチがNorthern Dancerを全く持たないので配合形は決まっている。前走は超スローの上がりの競馬、直線で何度も手前を替えて遊びながら抜け出してきて、ゴール板をすぎてもまだまだ余力があった。母父がDeputy Minister系で母方にアウトサイダー血脈が強い配合といい、Tom Foolクロスの影響が強いフォームといい、ちょっとアパパネとイメージが重なる馬だが、アパパネほどナスキロ的な斬れ味はないか。体型はフレンチデピュティが強く脚捌きはTom Fool的Bold Ruler的で、1800mベストの機動力型というイメージ。使った上積みはありそうだし、ここでもモンストールのように反応良く抜け出せそうなイメージは描ける。中山ならばこちらを◎にしたと思う。
ナヴィオン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012101775/
母ユキノスイトピーは6勝をあげたオープン馬で(フィリーズレビュー4着)、3代母ゼンギゴーストの産駒に小倉大賞典とカブトヤマ記念に勝ったワンモアラブウエイがいる。母が欧血中心のNorthern Dancer3×4で、自身はNorthern Dancer5×4・5にHornbeam5×5にBusanda≒Mr.Busher6×6・7だから、字面は重々しいがハーツクライ産駒としては比較的完成が早めの配合と言っていい。450キロの男馬だが非力さは感じられず、スパッと鋭く斬れたというよりはHornbeam的にトニービン的にMill Reef的に、配合のイメージどおり「Hyperion+Nasrullah」的に持続的に斬れつづけたという追い込みだった。距離は1800〜2000mあたりが合っていると思うが、前回叩き出した上がり32.7は前半のペースが多少速くなっても鈍ることはないはずで、61秒台で追走して32秒台で上がるという例年の勝ち馬レベルのパフォーマンスは計算できそうだ。あとはまだ重賞で馬券に絡んだことがない鞍上が、そのパフォーマンスを冷静に引き出せるかどうかだろう。
ヒルノマレット
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012101055/
ナムラビクターのイトコで、母ナムラクニヒメはナムラコクオーの全妹にあたる。母母ケイジョイナーはNative Dancer4×4、母父キンググローリアスはTom Fool4×4、そこへNorthern Dancer4×4・6のキングカメハメハが配されて、自身はMr.Prospector3×4にNorthern Dancerの継続クロス。キンググローリアスの父の母Mudvilleがナスキロ+Tom Fool+War Admiral+La Troienneなのでラストタイクーンをいじくった配合でもあり、ストライドで走る芝馬に出たのは順当。まずまずの好配合と言っていいだろう。デビュー戦はうなりながら上がっていったが62秒5のスローでも番手で我慢はきいて、直線追われるとしぶとく脚を伸ばして後続を寄せつけなかった。長手の体型で距離はもう少し延びてもいいという印象。ただ新潟外マイルでビュンと斬れる脚が使えるタイプには見えず、鞍上和田ならばここも前々で踏ん張る形だろう。となると「上がり32秒台で追い込んだもん勝ち」の新潟2歳で◎は打ちにくい。ちなみに和田の新潟外1600mの成績は[1.0.4.18]、脚をタメたもん勝ち、メリハリつけて差したもん勝ちのレースはあまり上手な乗り役ではない。
テイケイラピッド
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103951/
フェニックス賞のレオパルディナは父が同じスニッツェルで母母ラプーマが本馬の母なので、叔母と姪の関係でしかも3/4同血ということになる。オセアニアの名種牡馬Redoute's ChoiceはNorthern Dancer3×4などデインヒルの相似配合で父系本流のパワーを伝え、スニッツェルはNorthern Dancer4・5×4・5にLunchtime5×3とこれを相似配合で更に累進してやはり自己主張が強い。一方母母Raise a HolmeはNasrullah≒Nilo4×3を持つが、母父Lord at WarはNorthern DancerやNasrullahはおろかNearcoすら持たないアウトサイダー血脈で、ここが父のNorthern Dancerクロスや母母のNasrullahのクロスに対して1/4異系になっているのがポイントだ。
スニッツェル牝駒は全17勝中16勝が1200m以下で、1600m以上で馬券に絡んだのは本馬の中京2歳S3着だけだからこれは快挙と言っていいし、それだけの奥行きを感じさせる配合的裏付けもあるのだが、前走にしてもやっぱり最後はデビュー戦ほど反応して伸びるところがなかったから、やっぱり1600mよりは1400mがベターなのだろう。デインヒル系のパワー型なので新潟外回りの斬れ勝負も向いているとは言いがたく、見どころのある馬だがここは無印で。
ワキノヒビキ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012102477/
母ワキノバクシンは園田の認定競走でデビュー勝ちし、続くフェニックス賞で5着に入線したがその後は伸び悩んだ。ワキノバクシンの全兄マルイチバンバンは中央4勝(全てダ1400m)で、ネヴァービート4×3、Northern Dancer5×5を持つ父母相似配合。そこにディープインパクトの全弟オンファイアが配されて、Alzaoとダンシングブレーヴを通じるLyphardとSir Ivor≒Droneのクロスはスマートレイアーやサトノルパンやアヴニールマルシェと同じ。ダリア賞では後方追走から大外に持ち出すと一頭だけ違う斬れ味で突き抜けてしまったが、あの斬れ味はAlzaoとダンシングブレーヴ譲りなのだろう。ただ体型的にはバクシンオーの影響も強いだけに、スマートレイアーが1400mで一番斬れるのと似たようなところはありそうで、距離延長はプラスではないと思う。前走のように斬れを活かせば入着は有望。
コスモピーコック
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012100744/
母レッドピオニーはプレステージS(英G3・芝7F)3着、Montjeu産駒でHigh Top4×4にBold Reason≒Never Bend4×4という相似配合だからオペラハウスのような力馬のイメージだ。父MediceanはエクリプスS(英G1・芝約10F)とロッキンジS(英G1・芝8F)の勝ち馬で、Machiavellian×Storm BirdでHalo≒Red God3×4だからこちらは2000mも守備範囲の長めマイラー。本馬はどちらかというと父親似だろうがラトロ肩で掻き込む走りは母譲りのパワーを感じさせる。新馬勝ちもダリア3着も稍重馬場で自身の上がりは35.9と36.1。マイラーというより1800m型で、時計や上がりがかかる馬場でしぶとさを増すタイプだろう。道悪ならば馬券に組む手はある。
ディアコンチェルト
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103387/
ナムラマースの甥で、3代母ドッフはフォーティナイナーと7/8同血(Mr.Prospector,Tom Rolfe,Continueが共通)。父のサムライハートはサンデーとエアグルーヴの息子という良血で、種牡馬としてはローレルブレットのようなマイラーもヤマイチパートナーのようなステイヤーも出しているが、どちらに転んでも時計のかかる馬場で浮上するのは共通している。本馬はローレルブレット・プレミアムブルー型とみていいだろうが、レース上がり11.6-10.8-12.2の最後12秒台のところで末脚が際立って見えたということは、やはり少し時計や上がりがかかってのクチか。ちなみにサムライハート産駒は芝良[20.26.40.381]連対率9.9%、重不[5.3.3.36]連対率21.6%、重以上に悪化すれば印を回す手も。
ニシノラッシュ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012101704/
デグラーティアのイトコ。バクシンオーにRobertoとNijinskyを入れて、母系の奥にGreat Nephew(母Sybil's NieceがHyperion+Sister Sarah)やAlycidon(Donatello+Hyperion)が入るのでLady Angelaの頑強さも引き出した配合になっている。後肢高の短距離体型で体質に頑強さも感じられるのが好感で、もう少し俊敏さが出てくればスプリンターとして出世しそうな馬だ。1600mはちょっと長いだろう。
ブリクスト
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104814/
3代母ダイナランドの産駒にディクターランドがいるソーホワッツニューの牝系で、母プロミストパークはダ1400〜1700mベストで準オープンまで出世。プロミストパークの全弟には短距離で5勝をあげたショウナンワンダーがいる。この姉弟はUnderstanding≒シャダイランド4×3の3/4同血クロス(Promised Land×Stymie)を持つ。そこにチチカステナンゴが配されたのが本馬で、父チチカステナンゴも母プロミストパークも「5代アウトの父×Northern Dancerクロスの母」という配合形なので、自身は緩い父母相似配合になっている。
デビュー戦はスタートで安目を売ったが中団に取りつき、4角で外に持ち出すと坂を駆けあがりながらジワジワ伸びて差し切り。あれをみるとチチカス産駒だけに馬群を嫌うような面はあるかもしれない。体型体質はわりと母親似でノーザンテーストの1400m型というイメージ。しぶといタイプだがあまりしなやかさや鋭さは感じられないので、新潟外の高速上がりでビュンと弾けるかとなると疑問も。
トーホウハニー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103720/
VRCオークス、コーフィールド1000ギニーのArboreaなどが出るファミリー。母トーホウメドゥーサはMeadowlake産駒らしい巨漢で、ダ1200〜1700mで5勝をあげたオープン馬。そこにステイゴールドで父の柔らかさと母のパワーのうまく噛み合って発現していて、距離も1800mぐらいが合っていそうな印象。ただトーホウメドゥーサの繁殖牝馬としての配合は(同じMeadowlake産駒の)トキオリアリティーほどの説得力はなく、その点で奥行きがどうかという気はするし、前走の勝ち方をみるとどちらかというと内回り向きの脚質にも思える。
ハナモモ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012102834/
モエレエキスパートの叔母で、ノーザンドライバーなどが出るロードマップの牝系。ホワイトマズル×サンデーサイレンスはアサクサキングスやシャドウゲイトやシルポートなどと同じだが、母母父ノーザンテーストの影響が強い短距離向きの体型で、動きや脚捌きにはDrone≒Halo4×3の影響も感じられる。1400mぐらいがベストで、デビュー戦は出遅れて外から追い込んだがもうちょっと前で立ち回れるタイプではあるだろう。1600mは少し長いし外回りもプラスとは言えないか。
ギンパリ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012100913/
近親に目立った活躍馬はおらず、ケイムホーム産駒でMr.ProspectorとナスキロとTom FoolのクロスだからGone Westの血を増幅した配合になっていて、Gone Westを少し胴長にした体型で、母がサクラローレル×リズムとパワー型なので体質は少し硬い。前走をみると外回り向きの脚質なのはたしかで、距離適性は1800m寄りのマイラーとみたいが、ここに入ると前走の勝ちっぷりも血統配合もちょっと説得力が足りないか。
コメート
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103165/
母ジューンブライドはビッグフリートの全妹でマヤノスターダムの半妹。ブラックタイド×アフリートはシャイニーガールと同じだが、本馬はLyphardの母Goofedの5×4のクロス。前走は外枠から先行して4角先頭で押しきったが、あの粘りはLyphard的だし、母父アフリートらしく揉まれず先行するとレースを投げずに頑張る性格のようだ。体型などはわりと父似でマイラーではなく中距離馬だから、マイル戦で揉まれず息を入れて先行できるかどうかが課題。とりあえずは外枠が欲しいか。
グラスエトワール
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012102978/
母母Magic BroadはピムリコスペシャルH(米G1・ダ9.5F)勝ちIncludeの全妹にあたり、自身もセリマS(米G3・ダ9F)に勝っている。Turn to Talent≒Too Bald3×4の3/4同血クロスが決まっているが、そこにFusaichi Pegasus、ヴァーミリアンとかけられた本馬はMr.Prospector4×3にHalo4×5、そしてNorthern Dancer5・5・6×5・7、Hail to Reason5・7×5・6、代々クロスがうるさくて完成の早い配合といえる。Mr.Prospectorのクロスの影響が強い体型で脚捌きは無駄がなくて力馬タイプには見えないが、芝マイルでプラスアルファがあるかとなるとトーンは上がらない。
ゴッドバローズ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012102460/
母母Mackieの産駒に武蔵野Sのシーキングザベストがいる。ステイゴールド産駒で母がSecrettame≒Weekend Surprise2×3だから柔らかくなりすぎそうな配合だが、母母がもつBusanda≒Searching5×3や自身がもつノーザンテースト≒Storm Bird4×4などからパワーも補強している。Gone Westを胴長で細身で中距離馬のスピードの乗りにしたような、母のスピードで先行し流れ込む中距離馬。脚質的には外マイルより内1800mのほうが合っている。
ラミーロ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012102453/
エイシンサリヴァンなどが近親で、牝祖Oh So Sharpは英オークス、英1000ギニー、英セントレジャーなどに勝った女傑。父アサクサデンエンはヴィクトワールピサの半兄で安田記念勝ち。父がHalo3×4、母がNorthern Dancer4×4、自身はHalo4・5×4にMr.Prospector4×4にSadler's Wells≒Nureyev4×4。父とWoodmanが強いマイラー体型で、クロスがうるさいので完成度は高いのだろうが、ソコソコ柔らかいしソコソコ機動力はあるしソコソコ粘り強いし、雑多にクロスを重ねたぶんちょっと個性のない脚質になってしまった印象も。ダリアが完敗だったし巻き返しは難しいか。
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新潟2歳は将来オープンでやれるぐらいの素質馬はだいたい圏内には差してくるレースだが、一方でマーブルカテドラルやサウンドリアーナやダローネガやニンジャやコスモセンサーやタケミカヅチぐらいの馬でも先行してしまうと甘くなりがちだ。アヴニールマルシェとナヴィオンとミュゼスルタンの配合はG3なら◎を打てるだけの説得力があるし、前走内容からして61秒で行って上がり32秒台で上がってくる絵も描ける。順当ならばこの3頭の差し比べ、あとはヒルノマレットが中距離馬のしぶとさでどれぐらい食い下がれるか、そして当日雨で重まで悪化するようならコスモピーコックやディアコンチェルトを△で拾うかどうか、木曜の時点での結論はそんなところ。
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「血統クリニック」新潟2歳S再掲
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